

皆様、新年明けましておめでとうございます。
2007年もあっという間にスタート! 今年はさて…いかなる作戦を練ってアボリジニアートの日本上陸に向けて突っ走ろうかと、毎度のごとくインチキ気合だけはバッチリ入れちゃってはいるのだが、最近どうも身体がそれに付いていかずに困っている。
昔のように無理が利かなくなり何かというとすぐにバタンキュー。これも40歳という年齢のせいだからと妙に納得できてしまうところはあるのだが、身体があまり元気でないと必然的に「こころ」も多少なりともしょぼくれてしまっているのが現状である。
新年早々、自分の「こころ」があまり元気でないときのことを皆様にお話しするのは少々気が引けるのだが、今更カッコつけることもないのでどうかお許しいただきたい。
オレ様の場合、自分のテンションが下がっているときというのは、必ずといっていいほど電化製品が壊れる。過日も我が家の電気ポットが突然作動しなくなり、新しいものを買う羽目に。
こういった突然の出費にガクンと落ち込むやいなや今度は部屋の電球が終わった。たかが電球一つぐらい…そう思われるだろうが、我が家は築100年の古い家なので天井が信じられぬほど高い。ということはこんな男のようなたくましいオレ様でも、交換するのは至難の業なのだ。しかも真夜中の作業だ。
まずはテーブルの上に旅行用の大きなスーツケースを置いてフラフラしながらそれに乗り、両手をいっぱいにうーーんと伸ばして何とか電球を取り替えるのだが万が一、これでバランスを崩したらスーツケースが崩れ落ちてオレ様はちゃぶ台に頭を打って血を流しながら、数日後に隣人に異臭変死体で発見されるに違いない…なぁんて暗いことを考えながらも見事に交換達成。
なんだ。オレ様もやればできるじゃん! と理由なき自負心からまずはビールで祝杯。ああ、真夜中に一人で飲む冷たいビールってなんておいしいんだろう。
そしてビールグラスを片手に持ち、仕事部屋に行って残りの仕事を片付けているとプリンターが動いていないことに気づく。ありゃりゃ。プリンターといったら、そりゃもうオレ様の商売道具ではないか。
すぐに命がけで修理作業にかかるのだが、ただでさえ機械オンチのオレ様。もう気分は半分死人だ。それでもソフトの再インストールをしてみたりケーブルを取り替えてみたりするが、やっぱり駄目。
そんなことしている間にはビールもぬるくなっている。あとはああでもない、こうでもないといろいろ試したがそれでも駄目。…とそれから2日間ぐらい寝込んでみる。ここまで来るともう軽い『鬱』状態だ。
こんなときに友人にメールを打ち、最後に自分の名前を入力するときについ「内田真弓」を「鬱田真弓」にしてしまったりする。これ、冗談じゃなくてほんとの話。
結局、プリンターは一度電源を抜いてもう一度入れ直したら一発で直った。いったい、何だったんだ。誰かオレ様の気分もこんなふうに、電源オンオフで治してくれやしないだろうかね。
しかしながらこうやってただひたすら毎日毎日落ち込んでいても、どうにも解決策なんて見つからないことぐらい40歳にもなればわかっちょる。40歳といえば立派な大人だ。難しい漢字だってすらすら書けるし、靴ひもだって一人で縛れるんだ。
あれこれと自己分析をしてみた結果、オレ様が落ち込むときは大抵わけもなく人のことを過剰に気にしてしまったり、自分と他人を意味もなく比較してみたりと全く無駄な労力使っているということが直ちに判明した。そう。オレ様お恥ずかしいことに自分にとって本当に意味があることに、まるで気づいちゃいなかったのだ。
自分にとって本当に大事なこと、それは自分自身がいったいどこに辿り着きたくてどういうライフスタイルを持ちたくて、つまり自分の人生をどんなふうにデザインしていくのかということだろう。
そしてそれをどうやったら達成できるのかをできるだけ具体的に考えて、行動に起こすということ。人のことばかり気にするより自分自身のことを気にしないと、一生何もできない人間になって人生を終えてしまいそう。そっちのほうがほんとに怖い。
どうだね、諸君。何だかんだいいながらこれって新年のスタートにふさわしい内容だとは思いませぬか。 過日、日本へすでに帰国した友人から半分盗み取ったアフロヘアのカツラをかぶって、自分の姿を鏡で見てみた。そしたら気絶しそうなほど笑えて、みるみる元気を取り戻した。…ということで落ち込んでいる皆さん。オレ様のアフロヘアでよければ、いつでも貸し出しますから連絡してちょうだいね。
さぁーーて。話題転換。ここからは先月号より引き続き砂漠のアボリジニ女王様たちによる『愛と涙の大阪物語』をご披露させていただこう。
生まれて初めて自分たちの故郷を離れ、愛する家族をあとにして海の向こうの見知らぬ国へやってくることになった二人のアボリジニ女性、モリーンとノーマは、意外にもホームシックにかかる様子はなく、日本食にもあまり抵抗を見せていないのでオレ様もほっと胸を撫で下ろす。
そうなるともう、サービス精神800%のオレ様は彼女たちのすばらしいジャパン想い出づくりのためにあそこへもここへもと様々なイベントに連れ出した。
ときは8月の大阪。街のいたるところで盆踊り大会が繰り広げられていた。「ジャパニーズ、トラディショナル、サマーダンスフェスティバルにレッツゴー」とかなんとかインチキ英語を使って、ある晩、彼女たちを連れ出すことに。
盆踊りといえばやはり浴衣でしょ。敏腕インチキコーディネーターのオレ様は事前にユニクロで¥2800浴衣セットを購入し、早速砂漠の女王様たちへドレスアップをしてもらったのだが、何しろ初めての体験にみんな大騒ぎ。
おまけにそこへ取材だといってテレビカメラも介入したのでなおさら大変。ああでもない、こうでもないと絶叫しながら何とか着用完了。
おお! 馬子にも衣装とはまさにこのことではないか。砂漠の女王様たちは見事に芸者ガールに変身し、何度も自分たちの姿を鏡で見てはターンを繰り返しながら、にやりと恥ずかしそうに微笑んでいた。
それを見て普段は半分中性のオレ様も「ああ…同じ女性なんだわ」と、このときばかりは胸がキューーンと熱くなったっけ。
盆踊りの会場に着くやいなや、まず彼女たちが目をつけたのは「金魚すくい」。日ごろ、乾燥したオーストラリアの砂漠のど真ん中では決して見ることのない物体に、初めは尻込みしながらも興味深々の様子で見つめる二人だった。
「やってみる?」との問いに「ゆーあ、ゆーあ(訳:ルリチャ語でYESという意味)」と即答する彼女達の目はすでにハンターになっている。さすがである。かっこ良すぎだ。
そしてとても初めての試みとは思えないほど、まわりの誰よりもうまい彼女達の金魚すくいのワザに係のおにいちゃんが「おねーちゃんら、えらいうまいなー。どっから来たんや? 大阪、おもろいとこやろー?」と(もちろん)日本語で訪ねると、これまた「ゆーあ、ゆーあ」と彼女達。
人間と人間のコミュニケーションというのは決して言語ではないことを痛感した一夜であった。
さて、持ち帰ったたくさんの小さな金魚ちゃんたち。ノーマに「これ、どうやって食べんの?」と真顔で聞かれたときに「日本人は魚はナマでいただきますのよ。おっほほほっほぉ~」と一匹口に入れるマネをしたら間違えて飲み込んでしまった。
なんて馬鹿な冗談がいえるぐらいなんだから、オレ様、まだまだホンモノの『鬱田真弓』にはなりきっていないと思う。
2007年。皆様今年もどうぞよろしくご指導くださいませ。
