鰻の話 その3 - 食べ物・料理・味の旅 - Dengon Net

鰻の話 その3

2007-12-21

今回は、鰻の生態、生活史について書いてみよう。何でも科学で解明することができ得る現在にあっても、鰻の生態については、未だ謎の部分が多い。そもそも鰻は淡水魚として知られているが、海で産卵、孵化し、川に遡ってくる降河回遊魚である。同じような回遊魚の鮭とは、逆の生活形態をとっている。

従来は、フィリピン海溝付近とか台湾海溝近海の中層から深層が産卵場所とされていた。しかし、2006年に東京大学海洋研究所は、ニホンウナギの産卵場所がグァム島沖のスルガ海山付近であると発表した。また、産卵は冬と考えられていたが、これも6~7月の新月の日との説が有力になってきた。

卵から孵化した稚魚は、親とは異なる柳の葉のような形態をしており、レプトケファルス(Leptocephalus)と呼ばれている。遊泳力のない稚魚は暖流にのって日本近海に近づき、早春の2~3月頃、扁平な体から円筒形のシラスウナギへと変化する。シラスウナギの体型は成魚に近くなっているが、体色はほぼ透明で体長もまだ5cm程しかない。

黒潮にのって沿岸に辿り着いたシラスウナギは河川を遡上する。流れの激しい所では、川岸に上陸し水際を這って遡ることもある。川で小生物を捕食して、5年から10数年かけて成長していく。やがて成魚になった鰻は、川を下り産卵場所である海に向うが、その経路についてはまだ充分解明されていない。

河口付近に棲息するものは、淡水、汽水、海水に常時適応する能力を備えている。琵琶湖とか猪苗代湖等の大型湖沼では、産卵期までその淡水域でのみ生活するものも多い。近年、河川や湖沼の改修工事で堰が造られたりして外洋との往来ができなくなり、湖内の鰻が激減したために、稚魚の放流がなされているところもある。

シラスウナギを捕獲し成長させ、市場に出たものを養殖鰻といい、市場に出回る鰻の99%がこれである。

日本で最初に鰻の養殖を行ったのは東京深川だが、明治33年頃から静岡県浜名湖周辺に移った。現在、日本国内での養殖鰻の出荷量の多い順に、鹿児島、愛知、宮崎、静岡、高知各県となっている。そもそも鹿児島はシラスウナギの通り道であり、地下水が豊富で、土地も広く使える等の好条件の下、近代設備を整えたビニールハウスを利用した鰻の養殖が盛んに行われている。

しかし、日本国内の年間約12万トンといわれる鰻の消費には、国内産だけではとても足りず、市場全体の六割強は、中国、台湾、韓国等からの輸入に頼っている。特に中国では、ヨーロッパ諸国から安価のシラスウナギを大量に仕入れ、低い人件費や土地代の下、蒲焼に加工して生産出荷しているが、ヨーロッパ産の鰻はやや短く、脂ののりも強いので、関東風に蒸してから加工される。

日本向け出荷量は、正に「鰻上り」状態であった。しかし、2007年にEUが自然保護の観点からシラスウナギの輸出規制を開始した。そのうえ、中国産水産物の中から発癌性物質が検出された為、米国や日本で検査強化や輸入の差し止めなどがあり、流通に支障をきたした。

シラスウナギの捕獲量は時季や自然条件によって大きく異なり、1kg当り120万円になることもあれば、10万円ぐらいに下がる時もある。

かつては誰もができた鰻漁だが、現在では自然資源保護、生産者保護等の理由から、ほとんどの県や市が厳しい規制を敷き、許可された人だけしか捕獲できない。