新しい日本語新聞『伝言ネット』の創刊、おめでとうございます。メルボルン界隈在住の日系人、そして多くの日本に興味を抱いている豪州人が持ち望んでいたものが、ここに形となって表れる事は、本当に素晴らしい事としか表現できません。今後の発行担当者の益々の努力に期待致しております。
はじめに…
個人的な話しで大変恐縮ですが、この『伝言ネット』の発行人の石原敏郎氏と私は、この地メルボルンに居を定めんと入国したのが同じ年の、いうなれば同期の桜。その頃からの知人・友人としていつもお世話になっております。その友人の新たなる挑戦に、何か助力できぬものかと考えてみましたが、所詮しがない食堂の親父。勿論、金はない、知恵もなし、力もなければ、暇もなし。夢もチボウ(希望)もない。
そこで、古人なぞって伊藤六無斎と名乗り、世間から隔たれた穴倉の如き厨房(キッチン)生活を通して、身の回りに起こった諸々な事柄や、先輩や親方衆から拳骨と驚声付き習った事など、心に残るよしなしごとを徒然なるままに綴ってみようと思い付きました。
さて何を書くかはその時次第。気の向くまま、風の吹くままに書かせていただくとして、タイトルは何としよう。これには困った。迫り来る原稿〆切りの日数を考えながら、書こうとする心だけが東西南北に徘徊する様は、あたかも目的のない旅人の動きのように、あちらにフラリこちらにフラリと落ち着かない。己の心のフラフラする無様さに、一寸だけ格好付けさせもらい、表題を“食べ物・料理・味の旅”としてみましたが、どこへ行ってしまうのか、どうまとまるのかまるで分らない…と、思って読んでいただきたい。
前書き(言い訳)に頁を取り過ぎたが、ここからが本題。第一話は、味について少々語ってみよう。味とは、狭義では口中での味わい、味覚の事と説明される。口膣内の主に舌にある味蕾(みらい)と呼ばれる味の壷が感知する。
味をより深く知る

上図は舌上の味蕾の分布具合であるが、甘い味は舌先で、塩っけは舌全体で、苦さは奥の方で感ぜられる。それ故苦い薬は舌の奥に乗せないように、一息で飲むと楽なのです。味の種類とは、この甘・酸・苦・塩味の四原味をいう。最近では第五の基本味として旨味が加えられた。人はこれ以外に渋味・辛味・エグ味なども感じられる。舌以外の軟口蓋(なんこうがい:上あごの奥の柔らかい部分)でも、特に苦味や酸味を感じられる。それ故、口中の清潔と健康保特は大切である。また、味覚には多種の原味を混ぜることにより、以下の三つの効果が得られる。
・ 相乗効果 例:昆布と鰹節との併用出しは、その各々のものより美味しいし、スイカに塩を一振りしたり、あんこの甘みには少量の塩は不可欠。
・ 抑制効果 例:酸味または苦味に甘味、甘味に辛味、酸味に薄い塩味を加えた時など。片方の味が強すぎる時によく用いる。例えば甘すぎ味の処理や辛すぎカレーに甘味で調整など。
・ 対比効果 例:甘・塩・苦味に酸味、甘味に濃い塩味、旨味に塩味を加えた時など。一般的な煮物、和え物や汁物の味付けなどの効果もある。
おいしく食べるには、原味を混ぜることによって調整ができるし、味に深みが出るのだ。
次回は味覚以外の味の要困、味付けについて話すつもりです。 このコラムでは、皆様からのご意見、お叱り、そしてご要望などを承ります。お気付きの事等、何なりと編集部までお寄せください。
