今回は料理と塩の関係についての話。前回話したように、これほど大切な調味料はなく、戦国時代の戦場では、水・米の配給と共に塩も(時により味噌も)配給されていた。大体は一人一日当り、玄米6合・水1升・塩0.1合・味噌0.2合が相場であったらしい。ちなみに1合とは180mlである。 それ故、①塩を用いた調理方法、②塩をベースにした調味料、③塩処理した材料名、④塩を主体で処理(調理)された製品名などに塩の字が付けられている。
塩を用いた調理方法
これは塩味をつける当り塩(調理塩)のことで、大きく分けると振り塩、付け塩、立て塩になる。ここでは振り塩を説明し残りは次号で。
振り塩 塩焼き・塩締めなどが振り塩の代表的調理で、材料の身を引き締め、 生臭みをとり、味を付けるための調理操作である。塩を一握りして、食材から25~30cm離して指の間から落とすように振る。これを調理用語では尺塩と呼ぶ。
塩の量や振るタイミングは、材料の鮮度・大きさ・脂の乗り具合で加減するが、目安としては肉なら重量にして約1%、魚では2~3%とする。振り塩をして長時間置くと水分と共に脂肪分などの旨味成分も逃げてしまうので、調理の直前に振るとよい。塩の量により、薄塩・一塩・強塩とあるが、強塩はどちらかといえば振り塩よりも付け塩の作業といえる。
塩焼き 新鮮な魚の塩焼きは、生食するのと同様に、素材そのものの味を引き出して味わわせてくれる日本料理の極みである。塩焼きには、焼き上がりをより美しく見せるために飾り塩を振るが、古くは祝儀用の焼き物に塩を色粉で赤や緑に染めて用いたため それに対し、普通の塩を用いたものは白塩(しらじお)焼きと呼んだ。飾り塩とよく混同されるのが鰭(ひれ)塩と呼ばれる、魚に上り串(川魚)や踊り串(海魚)を打って姿焼きする時に、鰭が焦げるのを防ぐ目的と姿をより立派に見せるため、鰭が白くなる程たっぷり付ける塩のこと。それにより、鰭はその形を整えてピンと立つ。このようにして焼いた、婚礼や出産などの祝儀料理に用いる鯛の姿焼きの尾鰭に飾る水引の付いた紙を尾紙と呼び、胸鰭や口に飾る水引を潮吹きと呼ぶ。
鯛の浜焼きは、その昔、漁師が浜で直火や熱い塩の中や焼けた小石に乗せて焼いた塩焼きのことだったが、今では鯛の尾頭付き塩焼き全般を呼んでいる。
塩の振り方一つで味が異なると主張する人がいる。大阪のうどん店「本舗松葉屋」のご主人で、振り塩の際の右ひねりと左ひねりでは、左の方が、より力が加わるため辛さが強まると、TVにも出演して実証した。まさに塩の魔術といえるだろう。
