関東・関西 味の違い その6 - 食べ物・料理・味の旅 - Dengon Net

関東・関西 味の違い その6

2006-02-07

ダシの違いとその疑問点

これまで紙面上で数回に亘って、関東と関西では水そのものが違いダシも異なってきたことを述べたが、そのダシの違いを考えると大変面白いことがわかる。大別すれば、関東はカツオ節、関西は昆布ダシといわれている。しかし、カツオ節の主産地は土佐(高知県)や紀州(和歌山県)、昆布は北海道(旧称、蝦夷・松前)である。それゆえ昆布を使った料理には、松前漬け、松前焼き(または鍋、昆布の上で調理)、松前煮、松前蒸しなど、「松前○○」と呼ばれるものが多々ある。一方カツオ節を使った料理には土佐醤油、土佐酢、土佐煮など、主産地「土佐」の名を付けている。

そこで疑問点は、なぜ関西の方が近い土佐のカツオ節が関東でより好まれ、北国産の昆布が東国を通り越して関西で喜ばれたのか?

〈昆布と昆布ダシ〉

昆布はかなり古くから使われており、遊離のグルタミン酸を多量に含み、旨味があるため、ダシとして日本料理ではカツオ節と共に基本的材料である。一般の海藻類と同じように、リン、ヨード、カルシウムなどを含有しており、日本人にとっては大切な健康食品の一つとされてきたが、最近では昆布の食物繊維も着目されている。高血圧や動脈硬化、糖尿病などの予防効果があり、整腸効果も高い。さらにガン細胞の抑制効果の高さも話題を呼んでいる。真昆布、羅臼昆布、利尻昆布、三石(日高)昆布などがダシや料理に使われる上質のもの。他に厚葉昆布、長(早煮)昆布などは、おでん種や煮物などに使われている。ただしおぼろ昆布、とろろ昆布、白板昆布などは、加工品である削り昆布の一種である。

コンブの発音がヨロコブに通じるところから、正月の節会(お節料理)を始め各種祝膳には縁起物として欠かさず用いられた。代表例は、鰊を芯にした昆布巻や松前漬の他、各種昆布締めなど。また、昆布は魚と一緒に調理すると、魚肉の持つイノシン酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果でより旨味が引き立つ。昆布でダシをとる方法としては、低温加熱して煮出す場合と昆布を水に浸して水出しする場合と二通りあるが、高温加熱すると滑りや臭みが出てしまうので煮立ててはならない。

〈昆布の流通〉

室町の頃より、この北国の産物を京・大阪の町に運んだ廻船業(廻船問屋と呼ばれた海運業)が発達し、後には樽廻船とか菱垣廻船、北前船と呼ばれる組織となっていった。この船による運搬方法で直接江戸に海産物を運ぶには太平洋岸を行くことになるが、途中の三陸海岸は当時の航海術では危険過ぎた。ゆえに、昆布に限らず北国の産物は日本海側から運ばれ、関東には関西経由でしか入って来なかったし、関東の水は昆布ダシがとりにくかったことも兼ね合せて、昆布市場は関西が独占する形となった。昆布は関西寿司にもよく使われている。代表的なものとしては、鯖の姿寿司(棒寿司、松前寿司とも呼ばれる)、バッテラ、小鯛の雀寿司、数の子の押し寿司、夕桜巻、おぼろ巻き、鯖巻などがある。

またこの流通機構の名残りとして、今でも京都では北国産の魚を使った「鰊そば」や、地元産の海老芋(里芋の一種)と棒鱈を炊き合わせた「いもぼう」などが、郷土料理として親しまれている。