澄みきった青い空に美しい海。せっかくオーストラリアに来たんだから、ビーチにスポーツにキャンプにと、アウトドアを満喫したいもの。でも、ちょっと待って。オーストラリアは世界でも一番紫外線の強い国の一つって知ってた?
しかも皮膚がんの発症率は世界一で、2006年の11月には全国的な「皮膚がんを知ろうキャンペーン」も始まったほど。うっかり素肌を太陽の下でさらしていたら、とんでもないことになってしまう…かも。
そこで今回は「日焼け対策」を大特集。しっかり日焼け予防をして、オーストラリアの夏をエンジョイしましょう。
なぜ日焼けをするの?
「日焼け」は紫外線(Ultraviolet Radiation=UVR)の影響によって起こります。紫外線は肉眼では見えず、波長(光は細かく振動して伝わる波で、それぞれの色の振動の波の幅を表す)が長いものから、UVA、UVB、UVCに分けられます。
UVAは肌のより深い部分である真皮まで到達するため、真皮内のコラーゲンを破壊し、シミ、シワなどの長期に渡る肌のダメージの原因となります。日焼けサロンの紫外線は主にこのUVAを使っています。
UVBは肌表面の表皮に作用して化学変化を起こし、血管を拡張させてサンバーン(Sunburn 赤い炎症)を起こします。UVAよりも強力で皮膚に大きなダメージを与えます。
サンバーンの後、表皮の基底層にあるメラノサイトという色素細胞でメラニン(褐色の色素)の生成が始まり、サンタン(Suntan 肌が黒くなる)となります。これは表皮の下にある真皮まで紫外線が達するのを防ぐためです。傷ついた皮膚細胞は、自滅して剥がれ落ちることにより、がんへと進行するのを免れる仕組みになっています。
ちなみにUVCは地球を取り巻く大気に吸収・拡散されるためにほとんど地上には届きません。
日焼けをしてしまったら
- 皮膚がむけて痛みがとれるまで、日光に当 たることを避ける
- 脱水症状を防ぐために、水をたくさん飲む
- 冷たいシャワーを浴びる
- 日焼け部分に保湿クリームなどを塗る
紫外線レベルの高い国
オーストラリアは世界で最も紫外線レベルの高い国の一つです。これは、地球の楕円軌道が1月(南半球の夏)に太陽に最接近して紫外線のレベルが高くなるため。
しかも、大気が澄んでいて、南極上空のオゾン層が薄くなっている影響もあり、北半球の同緯度の国々よりも紫外線が地上に届きやすくなっています。
皮膚がん〔Skin Cancer〕って何?
毎年、約38万人が皮膚がん (Skin Cancer) の治療を受け、約1300人が亡くなっているオーストラリアは、世界で最も皮膚がんの発症率が高く、そのほとんどは紫外線のUVAとUVBが作用し合って引き起こします。
紫外線は細胞の遺伝子をこわし、異常な成長の原因となります。日焼けを繰り返して遺伝子が傷つき、身体本来の免疫システムが低下すると細胞に突然変異が起こり、これが皮膚がんとなります(私達の身体は、新しい細胞の作成、再生、交換をコントロールする遺伝子があり、がんはこの遺伝子の異常によって起きる病気です)。
表皮は(皮膚の外側部分)は3つの異なった細胞を含んでおり、皮膚がんはできた場所によって、次のように分けられます。
基底細胞がん (Basel Cell Carcinoma)
一番多いが最も危険が少ない。頭、首、身体の上部にできやすく、赤、青白、真珠のような色で、こぶ状または乾燥、うろこ状になっている。潰瘍化または完治しない状態でゆっくりと大きくなる。有棘細胞がん (Squamous Cell Carcinoma)
日光によく当たる場所にできる。厚みがあり、赤いうろこ状のシミで出血しやすく、かさぶたまたは潰瘍化している。数ヶ月かけて大きくなる。50歳代以上の人に多い。
治療法 基底細胞がんと有棘細胞がんは、小さなものであればほとんどは簡単な外科手術で済み、極少なものであれば凍らせて除去する冷凍療法もある。ほかに特殊なキューレットで腫瘍を吸引、放射線治療、薬物投与による化学療法もあるが、これらのがんは治療によってば99%は治る。メラノサイトがん (Melanoma)
治療しないと転移する、もっとも危険性の高いがん。Common (or Superficial Spreading) Melanoma と Nodular Melanoma の2種類に分けられる。
Common Melanoma あまり日光に当たらない場所にできる。新しくできるもの、または従来のシミの色や大きさ、形が変化してできるものがある。でこぼこしていて、輪郭がぼんやりし、色が混ざったもの。
Nodular Melanoma 底部から盛り上がっている点と色(赤、ピンク、茶、黒など)がCommon Melanomaとは違う。触ると硬く、ドーム状になっており、しばらくすると出血してかさぶたになる。 治療法 外科手術のほか、放射線治療、薬物投与による化学療法。リンパ節への転移が疑われる場合は、組織検査が必要。一度Melanomaにかかると、繰り返す可能性があるので、手術のあとには定期検査が必要となる。
覚えておきたいこと
- ビクトリア州では2004年に1959人がMelanomaと診断され(うち男性は1090人、女性は869人)で261人が亡くなっている。
- ビクトリア州ではMelanomaは15~24歳の女性では最も多いがんの種類で、男性では3番目に多い。 (以上 The Cancer Council Victoria 調査)
- 紫外線は直射日光だけでなく、ビルやコンクリート、砂や水に反射したり拡散し、薄い雲やガラスも通り抜けるので、涼しくて曇りの日でも、室内・車内でも日焼け防止策を。
- 紫外線レベルの高い時期は9~4月。
- 紫外線レベルの高い時間帯は午前10時~午後2時(夏時間は午前11時~午後3時)なので、この時間帯の外出は避ける。
- 1月の快晴時では、15分弱の日光浴でもサンバーンを引き起こす。
- 肌の色や人種にかかわらず、誰にでも皮膚がんになる可能性はある。
こんな人は皮膚がんの危険性大。真剣に日焼け対策を!
- 色白で日焼けすると赤くなる
- 子どものころにオーストラリアの日光に当たっていた
- 家族に皮膚がんの人がいる
- ソバカスやホクロが多い
- 故意に日焼けする機会が多い
- 屋外で働く時間が長い
- 日焼けマシンなどをよく利用する
噂の検証その1
日焼けは身体を強くする?
これは伝説。日焼けして黒く健康そうに見えても、太陽にさらした肌を更なるダメージから守るための皮膚の作用でしかありません。
噂の検証その2
オーストラリアでの1時間の日光浴で当たる紫外線レベルは、日本での15時間分と同じ?
紫外線レベルはオーストラリア国内でも場所によって違います。メルボルンやシドニーは日本とほぼ同じ。より赤道に近いダーウィンやケアンズでは日本の2~3倍の紫外線レベルです。
