「メルボルンから干ばつをなくす方法はない。この大陸では水不足はお決まりのことなのだ」と、ハマー首相は言ったといいます。緑の都市・メルボルンを誇ってきたビクトリア州は昨年、干ばつ10年目と、観測史上3番目の雨の少ない年を経験しました。
メルボルンでは、Water Restriction(給水制限)も今年1月からステージ3となり、水不足がますます深刻化しています。でも、水源豊富な日本で育った私たちは少々戸惑ってしまいますね。そこで今回は「節水」をテーマに、メルボルンの水とその上手な使い方を一緒に考えてみましょう。
水はどこから?
メルボルンの水のほとんどは、ヤラ・レンジの上方にある15万7千ヘクタール以上に及ぶ森林地帯の雨水が川を流れて貯水池に溜まったものです。これらの貯水池は主なもので9か所(図1)あり、総量で177万3千リットルの水を貯水することができます(100万リットル=1メガリットル-オリンピックプール一つ分の水量)。

メルボルンで使用される水の約59%は家庭用水で、そのうち約20%は屋外で、約80%はシャワーやトイレなど屋内で使われています(図2)。

干ばつってどんな状態?
干ばつとは一般的に、水が通常量または予想必要量に到達しない異常な乾燥期間が長引くことで、予想以下の貯水量、高気温によって必要量が予想以上になることも含みます。気象庁によると、観測記録の最少降水量10%を下回る期間が、3ヶ月以上続いた場合に干ばつと区別しています。
何が起きているの?
昨年は1996年に始まる通常の降水量を下回る10年目の年で、春と冬はこれまでになく乾燥した年でもありました。たとえば、州内最大のThomson Reservoirは1980年代以来最低の貯水量を記録しています。また、年間を通しての昼夜の平均気温は通常を上回り、春になるとこれまでになく早い時期に気温は30度を超え、一方で観測史上最も寒いクリスマスという異常気象でした。
2005年に発表されたImplication of Potential Climate Change for Melbourne,s Water Resourcesでは、近年の気象の変化には、夏季平均気温の上昇、降水量の減少、河川流水量の減少、猛暑・乾燥日の増加、暴風雨時の雨足の増加などが含まれていることが明らかにされています。
さて、過去10年間のビクトリア州の貯水量を見ると現在は61万9252リットル(2月19日現在)で、これは1997年の総貯水量177万3千リットルの34.9%にしか満たないことがわかります。つまり、水源のほとんどを雨水に頼っているビクトリア州では、これらの異常気象がもたらす降水量の減少が貯水池を、ひいては私たちの水道水をも直撃しているのです。
そこで、政府は水の使用量を制限するWater Restrictionをメルボルンなどに発表しました。これはMelbourne Water、3つの水道局、州政府によって、1から4までのステージを、ダムの貯水率などによって決定します。たとえば、1月1日にメルボルンでステージ3が施行されたときの貯水率は36.9%でした。
このまま水不足は続くの?
エルニーニョ現象(太平洋赤道域の日付変更線付近からペルー沿岸にかけての広域で海面水温が平年に比べて高くなる現象)が収まる兆候があり、正常な降水パターンが戻ってくるとの見通し(Melbourne Water)。また、今年は50%の確率で干ばつを脱出できると予測しています(気象庁)。
州政府の取り組みと私たちにできること
ビクトリア州政府のOur Water Our Future計画は、水の使用と干ばつ対策としてConservation(節水)とEfficiency(無駄を減らす)に焦点をあてています。それはたとえば、リサイクルウォーターの使用を増やす、地下水利用を増やす、ウォーター・グリッド・パイプライン(碁盤の目状にめぐらせた水道管)を使って必要な場所に無駄なく水を送る、といったものです。
また、メルボルンへの新しい大規模な水源としてGippsland power stationでの稼動にリサイクルウォーターを使い真水はメルボルンへパンピングする、より多くのストーム・ウォーターを集める、海水から真水に変える施設の建設などの調査を進めています。
一方で、私たちにできることはWater Restrictionを守ることを始めとする節水。州政府の調べでは実際に、1990年代から水の使用量が22%減少しており、これは家庭や産業での節水が効果を成しているとのデータもあるのです。この数年でも図5にみるように成果が出ています。次のページでは、身近な節水アイデアから節水グッズをまとめて紹介します。

