
このページの情報は08年4月現在のものです。
毎年この時期になると、そろそろ耳にし始める“Tax Return”という言葉。これって一体何だろう? 税金のことなのはわかるけれど、何か難しそう。それに、私は学生だし、僕はワーホリだし…? いえいえ学生だってワーホリだって、一定額以上の収入があったら申告するのが、世の中の常識。遊んだり、学んだり、働いたり…。いろんな思い出を残したオーストラリア、Tax Returnも体験してみましょう。英語の勉強にもなりますよ。
まずはこんなことから
■■ Tax Returnって何?■■
日本の確定申告と同様、税金を納めなければならない人が、その年の収入と所得税額を計算して自己申告(Self Assessment)するものです。
■■申告義務のある人<2008年度>■■
オーストラリア滞在中のワーホリ、学生について
① 07年7月1日~08年6月30日の全ての期間中、居住者で、年間$6,000以上の収入がある人。ただし、年間$6,000以下の収入でも、税金を納め過ぎている場合は戻ってくるので、申告した方が良いでしょう。
② 07年7月1日~08年6月30日の全ての期間中、非居住者で、年間$1以上の収入のある人。ワーホリのほとんどは、これに当てはまります。
■■申告の方法■■
① オンライン:ATO(Australia Taxation Office:税務署)作成の確定申告ソフト“e-tax”を使用(08年7月1日よりATOのサイトからダウンロード可能。09年2月末日まで使用可)。
② Tax Pack : ATO、郵便局、Newsagents等で入手し、手書きで記入後、ATOに送付。
③ Registered Tax Agents(Accountants)に依頼。
■■2008年度の申告時期は?■■
07年7月1日~08年6月30日分を08年10月31日までに申告する義務があります。ただし、専門家に依頼した場合は、期日が延期になることもあります。
オーストラリアでよく見たり聞いたりするコレって何?
● GST:Goods and Services Taxの略で、日本でいう消費税。税率は10%。
● Tax Invoice:ビジネス上でGST額を証明する為の、請求書兼領収書。
● Superannuation:税制上優遇される積み立て年金制度。個人でも管理できる。
あなたはどれ?
このチャートはきわめて一般的な例です。税制は個人の状況によって異なるので、複雑な人は専門家に相談しましょう。

※税制上の居住者(Resident)と非居住者(Non-Resident)はビザ上の居住者・非居住者と意味が異なります。一般的に、オーストラリアに引っ越してずっと暮らしている、オーストラリアに連続、または通算で6ヶ月間以上暮らし、そのほとんどを、ある一つの職種で働き、同じ場所に住んでいる場合は居住者となりますが、会計年度(前年の7月~6月)の半分以上をオーストラリアで暮らしていても、海外に生活拠点があったり、オーストラリアに住むつもりがない場合は居住者とはなりません。(一般的に、オーストラリアで生活している日本人の場合は、ワーホリ、ツーリスト、6ヶ月以内の学生ビザは非居住者、それ以外は居住者扱いとなります)。判断が複雑で不明な人はATOのウェブサイト内の判断テストで確認するか、専門家(Accountants:会計士またはTax Agents:税理士)に相談しましょう。なお、この欄での居住者・非居住者は“税制上の”を意味するので、注意してください。
仕事を始める前に
TFN(Tax File Number)を取得する。
■■ TFNって何?■■
ATOが発行する納税者番号で、その人の納税と収入の記録を認識するものです。一度取得すると生涯同じ番号を使うことになり、銀行のピンナンバー同様、とても大切なものなので、気軽に他人に教えてはいけません。履歴書に書くのはもってのほかです。
■■ 取得の仕方 ■■
ATO、Newsagents、郵便局、ATOのサイト等から申請書Tax file number application or enquiry for an individual formを入手して記入後、本人確認の為の書類(パスポート、運転免許証、学生証等)の原本を添えて、ATOに提出します。番号はATOに必要書類の全てが揃ってから28日以内に発行されます。また、ワーホリ、学生は、ほとんどの場合、オンライン申請も可能です。
■■ ないとどうなるの?■■
給料、銀行利子、配当、その他の収入に対する税額が46.5%という高率になります。また、Tax Returnの申告に膨大な手間と時間がかかってしまいます。
働き始めてからは
Tax file number declarationを提出する。
■■ Tax file number declarationって何?■■
TFNを報告する為のもので、仕事開始から28日以内に、雇用者、取引銀行、Centrelinkへ提出します。これをしないと、給料から46.5%もの税金が引かれることになります。
Tax Return申告で注意したいこと
■■ PAYG Payment Summaryを必ず入手する ■■
日本の源泉徴収票であるPAYG Payment Summary - Individual Non Business(旧称Group Certificate)を、7月14日までに雇用主から受け取ります。この際、紛失したり、何らかの理由で受け取れない場合(ケンカをした、会社がなくなった等)でも、正確な内容の記された署名入りの給与明細コピー、文書、ステートメントを受け取ります。これがないと、Tax Returnの申告に膨大な手間と時間がかかることになるので、退職後の引越し先等は、雇用主に連絡しておきましょう。
■■ こんな時はどうする?■■
① 会計年度途中で帰国する:会計年度途中での申告は原則的には認められていないので、この先、オーストラリアに戻ってくる予定があったり、出国後もオーストラリア国内で収入がある場合は、通常期間内での申告をしましょう。それでも、永久的にオーストラリアに戻って来ない、出国後にオーストラリアでの収入(利息、配当、特許権使用料等は除く)がない等の場合は、Tax Pack(年度は手書きで直すこと)とTaxpayer Leaving Australia—Request for early assessment、Payment Summary、オーストラリア滞在中に得た収入の明細を揃えてATOに相談するか、専門家に依頼しましょう。 ② 帰国後に日本から申告したい:申告期間中ならば、e-taxを使ってオンライン上で申告できる他、郵送、オーストラリア国内の専門家に依頼できます。 ③ 途中でビザを変更したら:居住者から非居住者へ、非居住者から居住者へ変更した場合は、税額が変更することもあります。その場合は、TFN Declarationを再度記入して雇用者へ提出し直します。 ④ 同時に2ヶ所以上で働いたら:収入の少ない方から税金を多めに引いてもらいますが、Tax Returnで税額が調整されます(左項Q8参照)。
ちょっと気にしたい話 その1
● ABNを取得しよう
ABN(Australian Business Number)は、フリーランス、独立事業経営者として働く時に取得します。所得税額控除や税率等で、TFNを使用して従業員として働く場合とは大きく異なります。ただし、事前に専門家へ相談することをお勧めします。
● 賢いTax Agentsの選び方
ATO認定のTax Agent Boardに登録されているRegistered Tax Agents (Accountants)のみ、Tax Returnを代理申告し、その申告料を請求できます。プライベートな内容を任せることになるので、まずは会ってみて(初回は無料が多い)人柄やフィーリングをチェックするのも大切です。
ちょっと気にしたい話 その2
● Medicare分が戻ってくる?
基本的に、一定額以上の収入のある人はTax Return申請時に収入額の1.5%(または2.5%)をMedicareとして自動的に引かれますが、ビザの条件上Medicareが使えない人は、その分の税金が免除されます。詳細はTax Return前にMedicare Australiaまたは専門家へ。
● 給与明細はGrossを見よう。
給与明細には大まかにGross(合計)、Net(税引き後・手取り額)、Tax(税額)が記されていますが、税率は居住者・非居住者によって違います。例えば雇用者側がそれぞれに払う金額が同じでも、手取り額が人によって違ってくる為、不公平感も。オーストラリアではGrossを見るのが一般的です。
Tax file number declaration
Section AとSection Bに分かれていて、Section Aは自分で記入します。Q1はTFN、Q2~Q5は氏名、生年月日等の個人情報、Q6はフルタイム、パートタイム、アルバイト(カジュアル)といった雇用形態を記入します(不明な場合は雇用主に確認しましょう)。Q7からはYES/NO回答になりますが、少し複雑です。
Q7)税制上の居住者か非居住者か? 自分がどちらであるかの目安は右ページでも触れましたが、居住者と非居住者では税率を始め、以下の点でも異なります。
居住者一般的に税率が非居住者より低くなりますが、オーストラリア国内外を問わず(日本も含む)、全ての収入を申告しなければなりません。年収$6,000までは無税で、所得控除(所得控除を含めた場合$10,000まで無税になることもあります)が受けられます。
非居住者オーストラリア国内での収入だけを申告します。年収$1から税金を払う義務があり、ほとんどの所得控除は受けられません。Medicare Levyは払いません。ここでNOと答えた人は、Q8以降の質問も一般的にはNOとなります。

※Q8~Q10は一つの雇用主についてのみ申請ができます。
Q8)年収$6,000までの無税を申請するもの(居住者のみ)で、2つの職場で働いている人、Centrelinkからの手当てやYouth Allowance等をもらっている人が対象となります。ここでNOを選択すると、給料から引かれる税率が本来より多くなります。
Q9)児童手当てや老齢者控除に関連して、税額を低くして欲しい人が対象です。
Q10)オーストラリア国内の僻地で働いたり住んでいる、オーストラリアの海外駐留軍としての税額控除、扶養家族の収入が一定額以下の為に、税額を低くして欲しい人が対象です。
Q11) HELP (Higher Education Loan Program)という学費ローンの有無。
何となくわかってもらえましたか? ここではあくまでも一般的な説明をしましたが、状況は人それぞれ違うので、詳しくはATOのウェブページwww.ato.gov.auを見るか、専門家に相談してみましょう。日本に帰ってからでも申告できるので、オーストラリアを思い出しながら手続きするのもいいでしょう。最後に、収入があるのに申告しないのは法律違反だということを忘れずに!
取材協力:久山・伊藤会計事務所 Kuyama Ito & Co Pty Ltd(CPA公認会計士・Registered Tax Agent) Suite1a, 39a Glenferrie Rd. Malvern VIC 3144 Tel: 03-9500-2097
