田村 佳代(演出家/役者) - インタビュー - Dengon Net

田村 佳代(演出家/役者)

2005-11-03

田村 佳代 演出家/役者

大きな劇場で何百人もの観客にさらりと観てもらうよりも、一人のお客さんに確実に自分達のメッセージが届く芝居がしたい Melbourne Fringe Festival出演の為9月末にメルボルン入りした、劇団GUMBOの主宰者であり演出家、そして役者としても舞台に立つ田村佳代さんにお話を伺いました。

パワフルな女性でした。実は、前日のタスマニアのロンセストン公演で、十数年の芝居経験の中最大のアクシデントに見舞われた田村さん。「ホント、大変なのよ~!」といっているのに、悲壮感は感じられません。むしろこのアクシデントをどう乗り切るか楽しんでいるというか、どうにかなる、どうにかしてやるといった気合が伝わってきました。

ないなら自分で作ろう

兵庫県立の演劇学校で芝居の勉強をしたのですが、自分のやりたいことができる劇団が見つからず、ないなら自分で作ろうと1994年に劇団Gumboを結成しました。Gumbo(ガンボ)という名前は、アフリカの言葉で「ごちゃ混ぜ」という意味なんです。私達の劇団は、メンバーそれぞれ違う職業を持っているし、年齢も出身も住んでいる所もバラバラ。違ったバックグラウンドの人達と、芝居的にもいろいろな要素を取り入れて「ごちゃ混ぜ」にして自分達らしさを出したいと思ってGumboに決めました。

メンバーの職業は、公務員、サラリーマン、旅行会社勤務、主婦、劇場勤務、アルバイターなど様々。住んでいる地域も違うので、芝居の練習所は、中間を取って皆1時間以上かかる場所。休みも違うから仕事終わってダッシュで稽古に向かうなんてこともありますね。結成当時は、年間100本の小さなショウをこなしましたが、今は大きなショウを年3~5本のペースで行っています。

Gumbo

人との出会いで自分が更に広がる

1997年から海外の演劇祭に出演しているのですが、英国で公演した時に、オーストラリアでの公演を勧められ、その後東京でメルボルン・フリンジ・フェスティバルのディレクターに会う機会がありました。名刺交換もないまま「オーストラリアで芝居がしたいんです」と言ったら、本当に資料を送ってきてくれ、トン、トン、トン!と出演にこぎつけました(笑)。今回で5回目のフリンジ・フェスティバル出演です。

お世辞じゃなく、海外公演の中でメルボルンが一番好き。食べ物が美味しいし、コーヒーも美味しい! 街並みもきれいだし。あぁ、何か頭悪そうですね(笑)。でもね、芝居をやっていると体力を使うんですよ。メルボルン以外ではニューヨーク(米国)とエディンバラ(英国)の演劇祭に出演しているのですが食事が口に合わなくて…。食べないとやっていられないのに、食べられないって辛いです。

海外公演に限りませんが、たくさんの人に出会ったり観てもらったりして、その人の意見や感想を聞くのは、楽しいです。自分の中にたくさんの人の意見や思いが入ってくるので自分自身も広がるし。分野の違うアーティストとのコラボレーションも楽しみの一つですね。結局、人との関わりあえるのが嬉しいです。国が違ってもここは共通だなとか、ココはこう違うとか。面白いですね。

メルボルンの観客は、反応が早くて私達のような海外から来た人の芝居でも構えない。受ける器が大きいと思いました。それに、笑いのツボが違うのと、アクションが大きい。最初は、マリファナを吸ってから観に来ているのでは? と思ってしまいました(笑)。

スタッフやメンバーとの信頼関係

本当に恥ずかしい話ですが、タスマニア公演中に左足が肉離れを起こしてしまったんですよ。舞台に上がっている最中だから、どうしようもなくって、でも動けない。相手役や音響さんに助けてもらってなんとか観客にはわからないように芝居を終えることができました。スタッフやメンバーとの信頼関係、チームワークは本当に大切ですね。

逆に、ギクシャクした関係のまま舞台に出たら、すぐ芝居に影響します。もし、ギクシャクしたら離れていきますね。今、Gumboにいるメンバーは、ココだから居る、ココじゃないと居られない(!?)って感じかなぁ。

私達の劇団は、儲けるとか大きくなることが目的ではなく、伝えたいことを伝える。大切にしたいモノを分かち合うという気持ちがあってやっているので、精神的に強く繋がっています。一方で、誰かが抜けるとなるとダメージも大きいですね。すごく作品に影響します。それが、プロじゃないと言われれば、プロじゃないと認めます。でも、それが私達のいい所だと思ってます。

ハイエナジーで笑いがちりばめられていますが、隙間からチラリと刃物が見え隠れするような、面白くて、ズキッとさせるお芝居でした。みなさんも機会があれば、是非Gumboの世界に浸ってみてください!