
家族や仲間の応援を糧に、自分の記録を伸ばし続けることに挑戦していきたい。
12月2日Melboure Universityエクストラバガンザ・パワーリフティング大会が開催され、冨田選手が67.5kg部門で優勝しました。普段カウンターでお寿司を握っている姿からは想像できないほどの力強い言葉で、パワーリフティングの魅力を語ってもらいました。

スポーツ歴は数あれど
中学生のときはサッカー、高校生のときはラグビー、空手と若いころから体を動かすのが好きでした。
大阪で働き出してから、料理長に連れられて行ったトレーニングジムに、いわば強制的に入会させられましたが、休憩時間を利用して1年間通いました。そのころはトレーニング後、包丁を持つ手が震えたりすることで、筋肉が鍛えられていくのを実感し、面白がっていたのですね。
ジムに通い出して半年ぐらいしてから、海水浴場のボディビル大会に出場。小さなメダルをもらったのがうれしくて、それをきっかけに、ウエイトトレーニングをもっとやってみようと決めました。
悔しさがバネになる
地元鹿児島に戻って自分の店を持ったあと、2年後に器械を揃えて小さなジムを始めました。会員を集めてジムの家賃を払う程度の規模でしたが、好きな者同士が集まって趣味で楽しくやっていました。
ウエイトトレーニングの基本は、バーベルを使って体を鍛えること。さらにウエイトトレーニングの基本種目で、力比べをするパワーリフティングに魅力を感じ、始めました。
そのころ「格好はいいけれど見せかけだけの筋肉で、ほかのスポーツには通用しないだろう」といわれ、「そんなことはない」とジムのみんなでボートの大会に出たことがあります。身体はできているので、競技のコツやボートで使う背筋をより強化して臨み、結果は1着。
その後もパンチを習ってキックボクシングの大会に出たり、走り込みをしてからマスターズの100m走に出て優勝したりしました。土台ができているので、それぞれの競技のコツさえつかめば結果を出せることが、理解してもらえたと思っています。
結果が数字で見られる
パワーリフティングは、バーベルを肩にかついで立ち上がるスクワット、ベンチに寝たままバーベルを持ち上げるベンチプレス、しゃがんで立ち上がるときバーベルを持つデッドリフトの3種目があります。
水曜日の夜は自宅でベンチプレス、土・日に所属しているクラブでスクワット、デッドリフトを練習しています。普段の練習ではベンチプレスで70kgを40回、110kgを10回というように呼吸を整えながら、バーベルを持ち上げています。
自宅で一人で練習するときは、つぶれ癖をつけないように、また、危険を避けるために補助バーを使っています。クラブでは仲間がいるので、お互いを手伝い、助け合いながら練習しています。
大会では、それぞれ3回ずつ計9回持ち上げて、各種目で上げた1番重いものをポイントにします。
今回はスクワットで190kg、ベンチプレスで135kg、デッドリフトで202.5kg、合計で527.5kgの結果を出し、67.5kg部門で優勝することができました。オーストラリア国内のスクワット207.5kgの記録も持っています。
数字で成果がわかるので目標が立てやすく、どんどん記録が伸びていくのがわかるので、がんばりがいがありますね。
息の長い競技
パワーリフティングの魅力は、年齢を問わないことにもあります。14歳以上であれば、上限もなく、男女の関係もなく楽しめます。これがほかのスポーツ競技だったら、ピークの年齢を迎えると、あとは記録が伸ばせなくなるものがほとんどです。
実際に40歳を過ぎた今も記録を伸ばしているし、50歳、60歳になってから始める人もいるんですよ。年をとってもできるので、長く続けられるスポーツといえるでしょう。
そしてこの国では、楽しんで大会に出場できます。会場の雰囲気がいいんです。日本の大会では、みんなカリカリしていて、自分でほおを叩いて気合を入れたりしますが、こちらは過激な気合の入れ方はせず、お互い「お前のハートはすごい」などと声を掛けたりしながら、和やかなムードの中でやっています。
競技をしていて感じるのは、元々欧米人と日本人では骨格や筋肉のつき方が違うらしいうということ。日本人は農耕民族だったせいか、しゃがんだり立ったりする動作で足腰は強いのですが、背筋が弱い傾向にあります。
でも、そんな弱点を補うための工夫はピカイチだと思います。試合のときに着用するパワースーツは大き目のサイズを買い、最大限の力を出せるように自分に合わせてミシンで縫い合わせたりします。
履くものやグッズも徹底的に研究しています。ほかの国の選手には、そこまでする人は少ないと思います。 実はメルボルンに来てから一時期、体を動かさなくなったことがありました。すると、肩こりがひどくなり、体が重くなり、仕事がきつくなりました。
板前という職業柄、一人でやるスポーツ、しかも、やる気さえあれば長く続けられる種目のパワーリフティングを選んで再開しました。
両極のようで、実はパワーリフティングがないと生きていけないくらい、今の自分には大事なものとなりました。これからも自分の記録を伸ばしていけるようにがんばります。

