ニコルス 明子(オーガニック認定) - インタビュー - Dengon Net

ニコルス 明子(オーガニック認定)

2004-09-01

プロフィール: 1976年生まれ 鹿児島県出身 1994年~ 鹿児島大学水産学部 1996年~1999年 メルボルンのACTHでツーリズムを学ぶ 2001年~2003年 農林水産省有機登録認定機関OCIAジャパンにてオーガニックコーディネーターとして有機認定のキャリアを積む 2004年~ オーストラリアのオーガニック認定機関Australian Certified Organic ブリスベンにて認定部長となる。

「あたりまえ」である食生活のために! 消費者と生産者の信頼の架け橋になりたい。

-オーガニックの道に入ったのは?

子供の頃、オーストラリアからの留学生がよくホームステイに来ていました。それで、小学6年生の時に来ていた同年代のオージーと仲良しになって、将来の夢を語り合いました。「私は将来、ツーリズムを勉強して世界を飛び回るわ!」と。でも、日本の大学では水産学部、海藻について勉強していました。大学3年生の時にふっと子供の頃の夢を思い出して、大学を休学。ツーリズムを勉強するためにメルボルンに来ました。1年近くツーリズム業界で職歴も積みましたが、とりあえず日本に帰ってきて大学を卒業しました。

卒業後、偶然知人に誘われたオーガニック認定機関での仕事を引き受けました。ツーリズムの夢は既に果たした気がしていたので、ちょうど何がしたいかを模索していた時でした。

東京のオーガニック認定機関で働き始めたら、私の他にフルタイムで働いている人がいなかったので、実践で学びながら認定もして、給料も自分で払ってやっていました。オーガニック認定に必要な知識も検査員講習会などに自費で出席して勉強しました。大変でしたが、追い込まれて仕事をしていた分、詰め込んで学ぶことができました。

-そしてオーストラリアへ?

留学時代に出会い結婚したオーストラリア人の夫と一緒にメルボルンに戻ってきました。オーガニック関係の仕事を続きけたくて、オーガニック認定機関に連絡をとってみました。ちょうど、認定基準に詳しい認定技術スタッフを探していたようで、早速返事がきてフルタイムで働くことになりました。今ではオフィスのあるブリスベンに引っ越して、忙しい日々を送っています。「翻訳や受付でもいいので何かの役に立ちたい!」と思っていたのに、入社初日から山積みの書類を渡され、その後も仕事をどんどん任されるようになり、夜もうなされるほど仕事に励んでいます (笑)。

-オーガニック認定とはどんなことを しているのですか?

私の中のオーガニックの基本概念は化学肥料や遺伝子組替えで自然の原理を曲げ、無理に生産したものではなく、「その土地のエネルギーを受けながら、循環しているもの」。「オーガニック認定」とは過去最低3年間、化学肥料・殺虫剤・除草剤など有機基準で定められた禁止資材を使用していない農場で栽培された農作物および、有機基準で定められた製造過程を経た加工品のことです。

オーガニック認定プロセスを簡単に説明すると、申請を受付、契約オーガニック検査員を派遣し、あがってきた検査レポートを二人の判定員が第三者的に判定します。私のいる認定部は一連の流れを管理して最終判定を出します。消費者がスーパーなどでオーガニック品を選ぶ時に、実際に農家に行ってどんな農薬を使用しているのか、製品が製造過程で汚染されていないかを調べるというのは無理ですよね。それで私たちのような有機認定機関が公正な目で認定して、太鼓判を押す。つまり私の仕事は消費者と生産者の信頼の架け橋だと思っています。

-オーストラリアで働いてみて?

この国で働くのはとてもやりがいがあります。職場でいえば、実力主義なのでやればやっただけ評価され、任される仕事もどんどん増えます。上司も個人の意見を大切にしてくれますしね。

それから、オーストラリアの国民性なのかもしれませんが、禁止資材一つとっても「どうして使っていけないのか?」「どうしてこれは使ってもいいのか?」など理解しないと納得しない人が多いので、毎日「魂」のぶつかりあいです。大変だったのは、日本とはオーガニック基準が違うので、まず違いを覚えなくてはいけませんでした。ネイティブではないことでハンディもありました。すべての資材名称を英語で覚えなくてはならないのはもちろん、オーストラリア人であれば当然知っている大手企業名や地名など、勉強することが山積みでした。

オーストラリアに来て、英語で苦労している方もいると思います。私の場合、留学半年目にオージーの知り合いが企画する地元の演劇オーディションを受けてみたら、なんと合格してしまい、全6回公演の3時間出っ放しの役を引き受けるはめに…。学校に行く電車の中で全て台詞を覚えて、足を引っ張っちゃいけないと思って、必死にがんばりました。勉強せざるえない状況に自分を置くこと、それが結果的に英語の上達に役立ったと思います。

-「食」をどう考えていますか?

あまり食品に対するこだわりがなかった私が、本物の「塩」を試してから「今まで私は何を食べていたのだろう?」と食に対する人生観が変わりました。化学肥料や余分な添加物などを使わず、手間隙かけて作られた食べ物は本当に美味しく、安全なので、フルーツや野菜はほとんどオーガニック物を食べています。自分の体が欲している物に従うようにしているので、特に「オーガニックしか食べない」というわけではないです(笑)。

「食べるものをおろそかにする」ということは、「自分に対する扱い(自分の価値)をおろそかにしている」ということだと思います。今は私たち消費者に選択肢がある、体によいものを食べるのか、美味しいものを食べるのか、ジャンクフードを食べるのか。情報に踊らされず、またオーガニックという言葉だけに踊らされず、お財布と相談しながら、自分にあったものを選択する賢さを持ち続けたいですね。


■オーガニックを見分けるにはパッケージや野菜の箱などに付いている、Australian Certificate Organicの認定ロゴマークを目印にしてください。