ブッシュ政権に逆風
イラクでは新政権が誕生してからも、国内のイスラム勢力同士の争いが続いている。アメリカを中心とした国際部隊への敵対心も強く、戦死者数も増加しており、早期の撤退を求める声も高まっている。
そんな中、アメリカで中間選挙が行われ、野党の民主党が上院、下院双方で大きく勢力を伸ばして過半数を獲得した。
これまで与党としてブッシュ大統領の政策を支持してきた共和党の敗退は、2年間の任期を残しているブッシュ大統領には手痛い打撃となった。民主党ではブッシュ政権のイラク政策に批判的な態度をとっており、これが票に結びついたとみられ、今後の政策の行方に大きな影響を与えることは間違いない。

その動きを象徴するように、11月9日、ブッシュ大統領はラムズフェルド国防長官を解雇した。ラムズフェルド国防長官は、政界だけでなく、軍事関係者からもイラク紛争での政策を誤ったとして辞任を求める声が出ていたが、大統領は彼を支持する態度を守り続けていた。後任には元CIA長官のロバート・ゲイツ氏が指名された。
今後、アメリカはイラクからの撤退をめざすと予想されるが、その前途は厳しい。アメリカを中心とした国際部隊の駐留が終われば、イラクの現政権は崩壊し、イスラム過激派同士の内戦状態になるのは間違いないとの見方が強い。
中東の平和だけでなく、世界的なイスラム派によるテロ活動を抑えるためにも、それだけは回避しなければならず、アメリカはどちらにも動けない状態に陥っている。
苦しい方向転換か
イラクからの撤退に向けて苦しい方向転換を迫られたブッシュ大統領は、これまでイラクでのテロ活動を後押ししているとして、批判の対象としてきたイラン、シリア両政府に対し、イラクの政情安定のための協力を呼びかける姿勢を見せ始めた。
この意外な方向転換は、核実験をやめないイラクにとって国際的な立場強化にも繋がり、行方が注目される。
ハワード政権の立場
ブッシュ政権と同調してきたイギリスのブレア政権も人気低落に悩んでおり、次回の選挙での再選は難しくなっている。今回の選挙結果は「ブッシュ派」のハワード政権にとって、対外的に厳しい状況が続くことを意味する。
APEC会合
APEC、アジア太平洋経済協力会議がハノイ市で開催され、オーストラリアのハワード首相も参加した。
記者会見で、アメリカと共に京都議定書を批准していないことを指摘されたハワード首相は、京都議定書の提案する環境レベルはクリアもしくはそれに近いところまで達成できるとして、批准の必要がないことを強調した。
またアメリカ、日本など6ヶ国で、「新京都」と呼べる環境基準を目標に掲げていると発表した。
国内では安定
イラク問題では厳しい立場になっているものの、ハワード政権は国内的には安定状態を続けている。イラク問題、労働法の不人気、旱魃など現政権にとって大きな問題が山積みしているにも関わらず、ビーズリー氏の率いる野党の労働党はそのマイナス要素を人気に結び付けることができていない。
この状態に苛立ちを隠せない労働党内では、再びビーズリー党首の交代説も噂されたが、これ以上の混乱は更に人気を落とすとして、今のところは保留されているらしい。
