選挙前の両党首討議でラッド氏優勢
11月24日の総選挙まで、1ヶ月を切った。終盤を迎え、ますます両陣営の選挙活動が激しくなっている。「真の指導者」を求めるジョン・ハワード首相に対し、「新しい指導者」を掲げるケビン・ラッド氏は11年ぶりの政権奪還を狙っている。10月21日にチャンネル9で放送された、90分間にわたる両党首のテレビ討議では、ラッド氏が65%、ハワード氏が29%とラッド氏が圧倒的な支持率を獲得した。
討議では、税金対策、経済運営、テロ対策、労使問題、気候変動問題などが争点となり、気候変動問題でハワード氏が「当選した際にはアメリカのジョージ・ブッシュ大統領への影響力を利用し、世界的コンセンサスを実現、また2011年からカーボントレードを進める」と発言したのに対し、ラッド氏は「11年間にもわたる連立政権で、気候変動問題に対して何のアクションも取らなかったのに、今さらハワード氏の発言を信頼できない」と厳しく反論した。
ハワード首相、減税を公約
ハワード首相および、ピーター・コステロ財務大臣は、340億ドルの新たな税金一括法案を公表した。これは、2008年の7月1日から、すべての納税者が減税を受けられるという公約で、1週間の平均的収入に対し、週約20ドルの減税となる。2010年にはこの減税額が35ドルに上昇する予定。さらに低所得者への税金控除も拡大するとしている。
コステロ氏が発表した新たな経済統計によれば、本会計年度の経済成長率は 4.25%と予測され、予算案で予測されていた3.75%を上回ったことになる。新税金プランが実施された場合でも、景気観測では約10億から15億ドルの黒字計上が見込まれている。
野党のラッド氏は、「減税対策は不可欠だが、財政責任をしっかり取る必要がある」とコメントしている。

金利上昇で、選挙戦のゆくえは?
オーストラリア準備銀行が、今月中の0.25%の金利上昇をほのめかした。上昇した場合、2004年の選挙以来6度目の金利引き上げとなる。失業率を過去33年間で最低レベルにしたハワード政権だが、2004年の選挙キャンペーンでハワード首相が公約した「金利の大幅引き下げ」は、まったく実現しないどころか、逆の結果となった。これに対し、ラッド氏はハワード首相の金利に対する公約を強く批判し、また選挙で政権を奪還した際には、財政黒字により金利上昇をおさえる方針を語った。金利上昇は住宅ローンなど、国民の生活に大きく関わる問題なだけに、選挙前の大きな争点となっている。
ラッド氏の右ならえ主義に党内割れか?
労働党外交スポークスマンのロバート・マクレーラン氏の「たとえ、バリ島テロ事件に関与したテロリストであっても、労働党は、国際的に死刑法を断固否定する」というコメントに、ラッド氏は「非常に無神経な発言だ」と憤慨し、「外交的にテロリストを支援するような内政干渉はするつもりはない。これは自由党の考えと一致する」と発言。しかし、マクレーラン氏のコメントは、5年来、ラッド氏が掲げてきた方針であったため、それをくつがえすような今回のラッド氏のコメントに、マクレーラン氏は驚きを見せ、「バリ9事件」で死刑に直面しているオーストラリア人に配慮したコメントであって、正しい発言をしたという態度を崩していない。
