ラッド首相、初の日本表敬訪問
6月8日から5日間にわたり、ケビン・ラッド首相が就任以来初の日本訪問を果たした。今回の訪問は、7月北海道で開催のG8会議を前に、福田首相との新たな協力関係の構築を目的としたもので、中でも両国が問題視している気候変動問題、そして石油高騰問題等に焦点が当てられた。
また来日初日には、オーストラリアの首相の中で初めて広島へ行き、平和記念館や原爆ド−ムを訪問する等、日本への理解を示した。
『捕鯨問題』
捕鯨問題については、強く抗議をしていたラッド首相だったが、今回の福田首相との会談では「友情関係の中でも同意できないこともある」といった意思表示での表現に留まった。
『関税に関して』
昨年4月から両国間で交渉中の経済連携協定(EPA)に関し、ラッド首相は締結に積極的な姿勢を示した。日本が重要品目と考える牛肉等を関税撤廃の対象から除外するように求めている一方で、消費者にとっても有益となる、農業品目を含めたEPAの締結を望んでいることを協調した。
石油高騰で支持率低下
6月にニールセン/The Age紙の世論調査が実施され、ラッド首相の支持率が、若干下がっていることが発表された。
ラッド首相の支持率は前回の結果に比べ2%下がり、68%、これに対し保守派連合のブレンダン・ニールセン氏は20%と1%上昇した。また、労働党の支持率は56%で1%下がり、保守派連合は44%で1%上昇した。
若干の支持率低下は、石油価格の高騰に対し、政府がなかなか介入しないことへの不満が原因、と言われている。この一方で、世界最大の石油輸出国のサウジアラビアが、今月から石油の1日の産出量を50万バレル増産することを発表。ラッド首相にとっては追い風となった。

石油高騰で、ナンバープレート盗難増加
近年の石油価格の高騰により、NSW州で車のナンバープレートの盗難が急増していることが問題になっている。
盗難されたナンバープレートは、ガソリンスタンドで給油をした際、支払いをせず逃走する犯罪に利用されており、その被害件数は昨年から増加している。
昨年2月からの1年間の被害件数は、前年より800件も多い1万1556件が報告されている。これら犯罪防止対策として、NSW州政府は、1万5000ドルを出資し、内側から装着できるネジのセットを、ドライバーに無料で提供することを検討している。石油価格は過去12ヶ月の間に約倍近く上昇しており、今年に入ってからは42%上昇している。
カンタス航空、日本便大幅削減予定
高騰し続ける石油価格の影響により、カンタス航空は国際及び国内線の便数を削減することを発表した。
国内便では、座席数を5%削減する。またここ数年にわたり、日本からの観光客数が伸び悩んでいることも、今回の便数改定に大きく影響している。
今年9月からは、メルボルン‐東京間の直行便の便数が廃止、シドニー‐東京間を週9便から7便に、ケアンズ‐東京便を週14便から週7便のジェットスター便に、ケアンズ‐大阪/名古屋便は廃止予定。特にメルボルン-日本間の乗客数は、2004年以来減少し続けており、それまでの12万2000人の乗客数に比べ、昨年は11万1000人から8万3500人まで減少。現在の石油価格のままでは、今後日本ルートを維持し続ける場合、1億ドルの損失を生むことになる。
国内人口、過去20年で最高の増加率
オーストラリアの人口が過去3年間の間に100万人増加していることが明らかになった。
統計局のデータによると、昨年は33万1872人の人口が増加したと推測されており、その増加率は1.6%と過去20年間で最高の増加率になる。
2007年の国内総人口は約2120万人で、内4人に1人がオーストラリア国外で生まれている。 これは、政府の政策であるSkilled migrationによる移民の増加と同時に、近年のベビーブームによる出生率の上昇が、今回の人口増加の要因と考えられている。
増加率が最も高い州は、西オーストラリアの2.4%で、続いて、クイーンズランドの2.3%、ビクトリアが1.6%。 政府が労働力となる Skilled migrationの受け入れ数を増加している一方で、 住宅不足やこれに伴う賃貸住宅の賃貸料の上昇等の問題が起きていることに対し、批判の声が上がっている。
女性失業者、男性を圧倒的に超える
金利の上昇による景気の減速により、5月頃から国内の失業率が4.3%と上がっている中、女性の失業率が圧倒的に高いことが統計局により明らかになった。
失業率の上昇は、2006年後期以来初めてであり、5月の失業者は、女性が1万9600人だったのに対し、男性は100人と格差が付いた。
今回の結果について、経済学者等によれば、「多くの女性が、小売業等のパートタイムのような雇用形態である為、消費者の昨今の買いしぶりが影響している」と考えられている。
一方で、現在全国的に失業率が上がっている中、ビクトリア州及びクイーンズランド州は安定している。 オーストラリアは先進国の中で2番目にパートタイム労働者が多い国であり、最も高収入であると言われている。
新飲酒ガイドラインに論争
近年深刻化している若者を含めた飲酒問題に伴い、連邦政府は7月から施行する新たな飲酒ガイドラインを発表した。
新ガイドラインは、これまでの1日のアルコール摂取量がワイングラスで男性4杯、女性2杯から、男女共に3杯までと変更される。
また今までの男性のアルコール摂取量の4杯は、今後、上限摂取量と考えられる。一方で、医療専門家は、「この摂取量には、なんの医学的根拠がない」と、今回の政府の決定を批判している。 またアルコール産業は、今後商品の広告に制限が設けられることが考えられ、売り上げに影響が出ることを懸念している。
政府は今後、飲酒税増税だけでなく、食品基準局に、アルコールに対しての警告表示を調査することも提案している。
アート作品に、児童ポルノ論争
5月にシドニーで開催された写真家ビル・ヘンソン氏の展示会の作品をめぐり、ヘンソン氏の作品が児童ポルノグラフィーと見なされるか否かで論争が繰り広げられている。
賛否両論の意見の中、適正審議委員会はヘンソン氏の作品に対し、「低刺激」であり、多くの児童に対し、安全であることを公表。
一方で警察側は、6月に、年齢が12歳から13歳と見られる、裸の少年少女をテーマにしたヘンソン氏の作品20点を押収。ヘンソン氏を「児童ポルノ制作者」として、起訴する必要があると考えている。
住宅価格、来年度再び上昇なるか
住宅価格が来年度から、再び上昇することが予測されている。長引く金利の上昇により、 平均的な住宅価格が、昨年12月のピーク時の47万1300ドルに対し、今年の3月には2.7%下がり、45万8488ドルと記録的に下落したものの、政府の移民政策により、急速な人口増加による住宅不足が、住宅の価格上昇をもたらしている、と経済予測家は話している。
国内で最も住宅価格が高いのはシドニーだが、2011年半ばまでに、平均住宅価格は65万ドルまで上昇すると予測され、3年以内に、不動産価値が18%まで上昇すると言われている。
ハイブリッド車を生産予定
トヨタ自動車が2010年から、ビクトリア州アルトナ工場で、電力と石油を燃料としたハイブリッド車「カムリ」の国内初の生産を開始、2012年より販売することを発表した。
これに伴い、ラッド首相はトヨタに対し、3500万ドルの支援金を出資すると公表。更に、ビクトリア州政府も支援金の提供だけでなく、2000台のハイブリッド車を購入することを公約した。
今回の計画では、トヨタは年間1万台の生産を予定しているが、どれだけの出資をするか、生産期間等、具体的な内容は決まっていない。
希望価格は、通常のカムリ(約3万ドル)より約4千ドル以上高い一方で、年間約1000ドルのガソリン代が節約できる。
今後部品メーカー等も含め、1000人以上の職が提供される予定。

水銀中毒で死亡するイルカ、増加
過去2年間、水銀中毒で死亡した8頭のイルカが、ポートフィリップ湾やギプスランド湖に打ち上げられていることが、モナッシュ大学の科学者により報告されたことで、ビクトリア州の一部の水質が問題視されている。
今回死亡が発見されたイルカからは、通常安全と考えられる、海水に含まれる水銀の3倍以上の量が検出された。さらにギプスランドで発見されたイルカは、満潮の位置より更に10メートル以上も離れた岸で死亡していたことから、水銀はイルカにストレスと神経障害をもたらしていることが考えられている。
この汚染の原因は、古い炭鉱の汚染物質が数十年にわたって湾に流れ込んだものが、食物連鎖により蓄積された為と言われている。
現在健康と見られるイルカにも、すでに高い水銀値が検出されており、将来これらのイルカにも障害が出る可能性があると考えられている。
太陽熱エネルギー計画
ジョン・ブランビー州知事は、2013年までに4億20万ドルをかけて、4つの太陽熱発電所をビクトリア州北西部のミルジュラ地区に建設する計画を発表した。
TRUenergyとメルボルンに本社を置くソーラー・システムズが共同出資をするこの新発電所は、154メガワットの太陽熱を発電し、年間4万5000世帯分の電力を供給できると考えられている。
ブランビー知事は、「ビクトリア北部、北西部には太陽熱にすぐれた可能性があり、今後西部郊外の大型産業にもこのクリーン・エネルギーを活用できる」と今回の計画に積極的な姿勢を示しており、2年以内には更に太陽熱発電所を増設することも検討していると発言した。
州政府は、5月の州予算に再生エネルギー計画の予算として7200万ドルを取り入れており、2016年までに目標としている再生エネルギ−量の10%の内2.5%を太陽熱エネルギーで補いたいと考えている。
F1グランプリ開催費で、納税者の負担年々増加
メルボルンで毎年開催されている、F1グランプリの出資費用が、年々増加していることが明らかになった。
オーストラリアングランプリ・コーポレーションの会計報告の分析によると、過去6年間で、運営費用及び開催費用が、年間平均5.1%上昇しており、そのうち納税者の負担額は2003年の1060万ドルから、昨年は3460万ドルと3倍近く上昇。
また、2010年以降ビクトリア州でのグランプリ主催国としての権利を勝ち取った場合、その負担は更に大きくなると予測されている。
空き巣、東部郊外に集中
ビクトリア州の空き巣の被害が、メルボルン市内及び東部郊外に集中していることが明らかになった。 最も空き巣の多い地区は、パークビルで、15軒に1軒が被害に遭っている。またカールトン、ノースメルボルン地区がトップ10に入っている。
