
食べたくなったら、作ればいいのだ。
「無性に大福が食べたい」。オーストラリアに来てそんな衝動に駆られることは私だけ? いやそんなはずはない。でもご近所ですぐに手に入るような状況ではない。いっそのこと自分で作れるようになりたいと和菓子教室へ出かけてみた。
先生が日本から持参した数々のお道具
生徒さんの作った煉切
やった!大福完成!
無心に手を動かす楽しさ
教室に着くとすでに先生が作ってきてくれた、白餡に求肥(ぎゅうひ)を混ぜて蒸してある煉切(ねりきり)で、他の生徒さんたちが飾りを作っていた。今日は錦玉(きんぎょく)と羊羹を重ねて作る涼しげなお菓子を作るとのこと。これからの季節にピッタリ!
早速始めてみる。粘土細工をしているような気分で煉切に食紅で色を付け、桜や蝶などの型抜きで形を作っていく。ついついあれこれたくさん作ってみたくなるが少しの量でできるので余った切れ端をつまみ食い。ほんのり甘くできあがりが楽しみだ。
先生が錦玉と羊羹の作り方を見せてくれる。レシピはあらかじめ配ってくれるので、それを見ながら確認できる。「電子レンジを使うときは1分ごとによく混ぜないとむらができますよ」と先生からアドバイスがあった。フムフムこれなら家でもできそうだ。
案外砂糖を多く使うのでビックリ。だからお茶菓子として喜ばれるのだなと納得。先生には「つまみ食いもほどほどにしないと、結構カロリーがあります」と言われた。しまった、見られていたか(笑)。
器に錦玉を入れ、思い思いに煉切の飾りを入れていく。固まったところでさらに錦玉を流し込み、また固まったところで羊羹を重ねる。冷めてからひっくり返すのだが、一体どんなことになるのだろう。ワクワク。
根気よさとセンスがものをいう
冷ましている間に、今度は餡子を煉切でくるんでお菓子を作る。色も形もそれぞれの好みでいい。餡子は先生がやはり持参してきてくれていて、みんなで餡を丸め煉切でくるんでいく。これがなかなか難しい。手を時々洗わないと煉切はくっつきやすく、丁寧に優しく包み込まないと餡子がはみでてしまうのだ。形よくできたときの嬉しさ。それにデザインして切れ込みを入れたりするのもそれ以上に楽しい。
「何年か前に日本で女性和菓子職人が主人公のドラマがあったわね、彼女の気持ちがわかるわ」という声があがったが、まさにそのとおり。
時間がまだあるので大福も作ってみせてくれた。白玉粉と砂糖と水を混ぜて電子レンジにかけ求肥を作るのだが、混ぜる時に結構力がいる。そういえば、今日は作るのに時間のかかる煉切や餡子は先生が持ってきてくれている。小豆を煮たり、餡を漉したりするのには手間暇がかかることを忘れちゃいけない。だからこそ美味しいお菓子ができるのだが。
おもてなしの日本のお菓子
日本では四季ごとに風情のあるその季節のお菓子をいただいていたのを思い出す。春は桜、夏は鮎、秋は紅葉など季節の素材を使って色や形が表現されていた。羊羹、饅頭、きんとん、わらびもちなど、味、姿、作り方のバリエーションも実に多彩だった。目で見るだけで楽しめるのも魅力。自分で味わうのはもちろん、オージーのパーティーに持っていったら喜ばれること請け合いだ。
先生は以前ニュージーランドにいたことがあるが、一時帰国したときに「喜ばれる日本のお菓子を海外に伝えたい」と、和菓子屋さんで本格的な和菓子の基本を勉強してからメルボルンに来たという。
そしてこの教室には口コミで友達や職場仲間を誘って二度三度と来る人も多いとか。最後にお茶の時間も取ってある。ほんのり甘い和菓子をお茶と一緒に味わう醍醐味は日本人ならではのお楽しみかも…。

