
茶道といえば、日本を代表する文化のひとつ。日本で習っておけばよかったと思うことはあるが、いざ、どの教室に通おうかと思うと、様々な流派があって、どれを選んでいいのか迷ってしまう。今回は、上田宗箇流という武家茶道に挑戦!
茶の湯の世界
茶道とは、様式にのっとって客人に茶をふるまうこと。茶を淹れて飲むだけでなく、生きていく目的や考え方、宗教、茶道具や茶室に置く美術品など、広い分野にまたがる総合芸術のことを指す。奥が深いと思っていたが、やっぱり奥が深かった茶の湯の世界。

茶の湯の歴史は古く、鎌倉時代、中国から日本へ禅宗と一緒に薬として持ち込まれた抹茶が、禅宗と共に精神修養的な要素を強めて広がっていった。室町時代に、盛大な茶会を催すことが大名の間で流行したが、これに対し、亭主と客との精神交流を重視する茶会のあり方を説いたのが、現在の茶道の原型である『わび茶』のはじまり。
その後、わび茶は安土桃山時代に千利休によって完成された。それまで限られた階級のものだった茶道は、江戸中期に町人にも広がり増加。明治時代以降は、本来のわび茶とは別の「女子の教養」としての要素も獲得し、美しい着物姿での華やかな茶会のイメージが定着した。
武家茶ってなに?
今回おじゃました上田宗箇流は、桃山時代に生まれた武家茶で、400年の歴史を持つ流派。初代上田重安(のちに宗箇)は、千利休、利休七哲と呼ばれる弟子のひとり古田織部の門下で茶の湯を学び、武勇でも知られる人物。茶杓や茶碗などの手作りの茶器に逸品が多く、茶人・造園家としても現在に残る業績を残した文武両芸に秀でた人だ。
当時の武士達が一時の心の静けさを求めた茶といわれるだけあって、装飾的なものは排除され、本質的なものを追求する姿勢が茶室や茶器など随所に見られる。点前(手前)は、直線的かつ内から外への動きが中心で無駄がなく、凛とした美しさが特徴だ。
武家茶の特徴として、左腰には刀があるため、帛紗は右につける。人とすれ違うときも刀が触れ合わないように、左側を歩く。
いざ茶室へ
さて、うんちくが長くなってしまった。教室のドアを開けると、「こんにちは」と流暢な日本語とやさしい笑顔で出迎えてくれたアダムさん。きっちり着物を着こなしていてビックリ。しかも、教室に通いだして1年ほどのブレアさんも 着物を着ていた。せっかく覚えた着付けを忘れないように、茶道教室のときは着物を着るのだとか。生徒は、カジュアルな服装でいいが、茶室に入るときに白いソックスに履き替える。
まったくの初心者の私は、茶室に入る『席入り』の仕方から。入るときにお辞儀、掛け軸や窯の前でお辞儀、花を拝見、席に着くまでの順序が細かく決まっているとは知らなかった。こう書くと、なんだか堅苦しそうと思うかもしれないが、実際に体験してみると、そんなことはない。初心者ながらも、亭主と客がお互いに相手のことを思いやり、礼を形に表すとこうなるんだなぁと思えてくるから不思議。茶室の空気がそうさせるのか!?

『席入り』が済み、いよいよお点前を拝見。今回は、ブレアさんの窯点前をちょうだいする。お茶の前には、お待ちかねの和菓子。季節感を大切にするので、梅の季節にちなみ、梅形の餅菓子が出た。なんと、この和菓子もアダムさんの手作り、白餡も自分で豆から炊いている。
メルボルンでは、和菓子も手に入りにくい。細かいコツなどは和菓子職人アドバイスをもらったものの、基本的には本を参考にしながら独学だ。ちらりと覗いたアダムさんの本棚には、茶道に関する本はもちろん、禅宗や哲学、料理や和菓子の本がずらり。勉強熱心さに頭が下がる。
今回は、席入りと客としての作法、和菓子を食べるとき、お茶を飲むときなどの作法を丁寧に指導してもらったので、次回茶会に招かれるようなことがあっても怖くない!?
ところで、みなさん気になっていることはないだろうか? 慣れていない人には辛い正座。そんな人のために、正座のときに使うクッションも用意されているのでご心配なく!
招く側の作法も習いたいなぁと思いはじめた今日この頃。ちょっと真面目に通ってみようかな。

