「言わなくてもわかっているだろう、わかってくれるだろう」と思うのは、期待しすぎなのかもしれません。「大好きだよ」「愛しているよ」と言われるのは、誰だって嬉しいもの。特に子供には声に出して言うことが重要です。
私が初めて幼稚園で担任を持ったのは、4歳児35名のクラスでした。子供達にとって初めての園生活…お母さんと離れて寂しくて泣いてしまう子もいました。でも、私にとっても先生として1年目。教師としてはまだまだ未熟なだけに、不安で自信もない。きっと保護者の方から見れば、頼りない先生だったに違いありません。
そんな未熟な私にとって初めて担任した子供達はとてもかわいく、愛しい存在でした。ある日、園庭で子供達と遊んでいるとき、Sくんがすべり台から下りて来て、にっこり笑顔で私に抱きついてきました。私は思わずSくんを抱きしめながら、「先生、Sくんが大好き!」と言いました。それから、何日かたってSくんのお母さんが幼稚園に来られたときにこうおっしゃいました。「Sが家に帰って来て、何度も何度も言うんです。お母さん、先生はね、ぼくのことが大好きなんだよって」。私は、胸が熱くなって涙が出そうでした。私が言った一言をそんなに真摯に受け止め、喜んでくれるSくんの気持ちがとても嬉しかったのです。そして、子供にとって「大好きだよ」「あなたがクラスにいてくれて先生は本当に嬉しいよ」「そのままの○○ちゃんでいいんだよ」というメッセージを子どもに伝えることがいかに重要であるかを、このとき私は気付かせてもらうことができたのです。
幼稚園教諭の研修会に参加したとき、ある先生がおっしゃっていました。「教室の子供達は皆、心の中で先生に聞いているのです。『先生、ぼくのこと好き?』『先生、私ここにいてもいいの?』と。声に出さない子ども達の声に耳を傾けてください」。
それはきっと家庭でも同じことです。お父さん、お母さんは子供の存在を認め、「○○がここにいてくれて本当に嬉しいよ」と伝えてあげてください。それはその子にとって一生の財産になるでしょう。
