ネットワークの最適化:MTU値の調整(上) - パソコンVETの診療カルテ - Dengon Net

ネットワークの最適化:MTU値の調整(上)

2006-12-05

先月まで数ヶ月にわたり、ブロードバンド接続のチェックポイントについて説明し、一般的なことについては、ほぼ言い尽くせたと思います。今月は実例に戻り、今までの説明でカバーし切れなかったことについて触れたいと思います。

症状: iiNetのADSL2+に加入、接続したが、hotmailなど、特定サイトにアクセスできない。カスタマーサービスにはK.H.さんのパソコンに問題ありと言われた。

ADSL2+ではHotmailができないの!?

K.H.さんは、iiNetというプロバイダを選び、通常のADSLより断然速い、ADSL 2+を導入しました。ところが、インターネットにはつながっているけれど、肝心のHotmailにログインできないということで、私に相談のメールを送っていらっしゃいました。そこでメールや電話で連絡を取り、このコーナーで今まで取り上げてきたチェックポイントはすべて調べましたが、何も悪いところが見つかりません。

iiNetのヘルプデスクの見解は、「K.H.さんのパソコンに問題があるとしか考えられない」というものです。それが証拠に、K.H.さんのIDとパスワードを使えば、その担当者のパソコンからHotmailにログインできるというのです。

しかし私に言わせれば、これは単なる言い逃れに過ぎません。オーストラリアのプロバイダではよくあることです。担当者のスキルにもよりますが、通常、第一線のヘルプデスク担当に求められている仕事は、マニュアルどおりに対応して問題を切り分けることです。

そして、マニュアルに書いてあることをすべて試しても解決しなかったときは、「あなたのパソコンが悪い」と結論づけることもあり得ます。丸め込まれないように気をつけてください。

この場合も、ちょっと考えればわかることですが、この担当者はK.H.さんのネットワーク環境で実際に試したわけではないのです。このことだけで、K.H.さんのパソコンに問題を転嫁するのは、大いなる論理の飛躍というものです。

問題はMTU値ではないのか?

ところで、iiNetで思い出したことが一つ。実は私の会社の同僚がやはりiiNet のADSL 2+で所期のスピードが出ないという問題を抱えており、さんざんiiNetのヘルプデスクと喧嘩したあげく、最後に解決法を見つけたのです。これと同じことを試してみる価値はありそうです。

この同僚が最後に何をしたかというと、ネットワーク設定のひとつであるMTUという値を変更したのです。MTUとは、Max Transfer Unitの略です。ネットワーク上でのデータのやり取りはパケットといって、データをある一定のサイズに区切り、それをひとかたまりとして送受信します。

そして、送ったパケットが相手に着くと、相手は「受け取りました!」と返事を返します。そうしたら次のパケットを送るわけです。MTUとはこのパケットのサイズの最大値を定めるものです。ということは、MTUを大きくすれば往復回数を減らせ、速度的な効率が上がります。

しかし、大きすぎると、途中でネットワーク上のエラーを拾う確率が増え、送り直しが頻発し、かえって速度が劇的に落ちてしまいます。

通常Windowsでは最大公約数的なMTUの値を採用しています。しかし、これがすべてのプロバイダ、あるいはすべてのネットワーク環境で常に最適とは限らないのです。

この同僚の場合も、電話回線の状態が完璧ではなく、通常のMTU値だと転送エラーが頻発して送り直しが増え、結果として速度がものすごく遅くなっていたのでした。

今回は結論だけ書きますが、K.H.さんの場合も、MTUの値を調整することで、問題が解決しました。この問題は、iiNetとか、ADSL 2+特有のものではなく、個々のネットワーク、電話回線など、トータルな意味でのネットワーク性能/状態と関係があるものです。

したがって、従来のADSLでもCableでも起こり得る問題です。ただ、一つだけいえそうなのは、ADSLがADSL 2+に進化したことで、ネットワークに求められる条件がよりシビアになり、この問題が表面化する確率が増えているのではないかということです。

次回は、このMTUの調整方法について具体的に説明しますが、「MTU」をキーワードにしてWeb検索すれば、やり方がわかりますので、お急ぎの方は調べてみてください。

今月の教訓とTips

  • ヘルプデスクに丸め込まれないように注意。できれば自分なりにクロステストをして、問題になりそうな箇所となりえない箇所を切り分けておくといい。
  • MTU値を最適化しないとならない場合が有り得る。ADSL 2+になるとその確率が増えることが予想される。MTUの調整方法はWebにも出ている。