
こんにちは、セシリアです。これまで、Permacultureについてお話してきましたが、今回はおさらいの意味で、それを実践しているニュージーランドのRainbow Valley Farmを紹介します。Permacultureの考え方を利用すれば、こんなにも楽しく創造的な暮らしができるのだということがわかると思います。あなたの生活に役立つヒントが見つかるといいですね。
四つの理念
Rainbow Valley Farmは、ニュージーランド・オークランドの郊外にあり、主人であるジョー・ポラッシャーがPermacultureの考え方に基づいて作った農場。Permacultureは、Permanent Agriculture(永続する農法)とPermanent Culture(永続する文化)からの造語で、永続可能な環境を作るデザイン体系のことです。
Permacultureには四つの理念があります。一つはCare of earth. 地球の世話、つまり自然をキープする。二つ目はCare of people. 人間の世話、つまり自立して生きていけるようにする。三つ目は余ったものをシェアして無駄をなくす。知識や技術もシェアして新しいものを作り出す。四つ目は消費を減らす。
これらは難しいことだけど、Permacultureのデザイン体系を利用すれば、無理なことではありません。
現在のニュージーランドは豊かな国ですが、このまま消費を続けたら、輸入できる石油が残り少なくなり、安い電気や食べ物がなくなってしまうかもしれません。持続可能な農業や社会システムを考えておくべきだとジョーは言っています。電気がなくても薪ストーブがあるような生活。スーパーマーケットがなくても家にあるもので食べていける自立した生活。彼はそれを実践し、モデルになろうとしています。
Permacultureの農業と他の農業との違いは、生態系をデザインして生物がお互いの世話をするようになることです。普通の農業は害虫が来たら農薬で殺し、有機農業は手で虫を取らなくてはならないでしょう。Permacultureの農業は、害虫を餌にする鳥などの生き物を放して喜んで食べてもらうようにします。人間にとってはラクチンな農業ともいえます。
では、ジョーの農場を一緒に見てみましょう。
「一石三鳥」以上
日本には「一石二鳥」という言葉がありますが、Permacultureの原則の一つで、「一つのものに三つ以上の役目を持たせる」ということをいっています。ジョーの家の屋根はいい例です。屋根を植物で覆っているので暑い日は断熱材がわりになり、室内の温度を安定させることができます。冬は日中の暖かさを蓄えることができます。
大雨が降っても、雨水がすぐどこかに流れていってしまうことがなく、屋根の土が吸収して少しずつ浄化してから地面にゆっくり落ちるようになっています。
屋根はマーケットのように楽しい所でもあります。丘につながっているので、自然に食べ物が生産される場所になっています。ハーブなどの植物が育ち、蜂が遊びに来て蜂蜜を作ってくれます。ニワトリが散歩して卵を産み落とし、草を食べたい牛が来ることもあります。
敵をコントロールする
害虫はまずよく観察、そしてその生態を理解するようにします。ライフサイクルや好き嫌いがわかれば、コントロールの方法が見つかります。害虫を食べるいい虫もいるはずです。そのいい虫の好きな花を植え、隠れる場所を作れば、いい虫は自然に多くなり、悪い虫を食べてくれるでしょう。生態系を利用して敵をコントロールするのです。 写真を見てください。野菜畑の中に鳩の餌場を用意してあるのがわかりますか? これも敵をコントロールするための一部。鳥は害虫を食べて糞を出し、畑にいい影響をもたらしてくれるのです。
他力本願
ニワトリや豚は彼の「スタッフ」です。ニワトリは雑草や虫を食べ、虫のたんぱく質を卵に替えます。また、ニワトリを特別なカゴに入れて動くようにしておくと、地面をつついて食物を探すので、土が軟らかくなり「チキントラクター」になります。豚も雑草を食べて肥料に替え、チキントラクターのように地面を掘り起こして柔らかくしてくれます。豚を放したあとは植物が育ちやすい土になります。ジョーが他のことをしている間に、「スタッフ」の力を借りるのですが、彼らも楽しいことをするので、お互いのメリットになります。
無駄な物はない
どんな生物でも他の生物の資源になりうることができ、廃棄物さえ役に立ちます。残念ながら、この地球上で人間だけが他の生物が利用できない無駄なゴミを出す生き物です。
ジョーのコンポストトイレは、人間の廃棄物を堆肥に替えます。他のコンポストトイレは、分解が不十分だったり、見た目が寂しかったりしますが、ここのトイレは違います。使い終わった後水は使わず、家具を作ったあとにできた木屑を入れます。下にはミミズや微生物が待ち受けていて、分解を始めます。見た目もきれいで快適。このトイレが成功するまでには、どんな木屑がいいのかなど随分試行錯誤したそうです。毎日ミミズの観察も怠りません。おかげで誰もが使いたくなるコンポストトイレができました。
端っこ、エッジが大事
二つの違う環境が接する所、つまりエッジは豊かな場所です。たとえば、池を作るときに丸い池にするよりは、周囲がうねうねとした形のほうが、池と土の接する部分が増えて、生態系を豊かにします。 種類の違う植物を植えることができたり、魚が住み易くなったりします。
ジョーの農場では、イラストのように「Key hole」(鍵穴)型の畑がたくさんあります。この形は畝を作って「エッジ」を多くし、植物が育ちやすい環境と作業が効率的にできるようにしています。畝は真中辺りが高く、周りが低くなっています。低い所には背の低いレタスやハーブなどを、高い所には背の高いとうもろこしなどを植えるので、畑の中に入らなくても植えたものが収穫しやすくなり、土を踏み固めることがないので、耕す必要もありません。お互いの成長を促すような種類の植物を多く植えることができ、すべての植物の日当たりを調整することもできる生産性の高い畑です。
また、家の棚は「エッジ」の考え方を利用して浅く作ってあります。深い棚だと使おうと思った調味料がどこに行ったかわからない、「迷子」になりがちです。でも棚を浅くして「エッジ」にしておくと何が置いてあるかすぐわかり、「今日はこれがあるから○○を作ろう」とメニューを考えるのにも役立ちます。自家製ピクルスやジャムの瓶が並んだ棚はきれいなだけではないのです。
自立した人間になる
写真でジョーが使っている機械は、昔は洗濯物を絞るために使われていたものです。川に捨てられていたものを拾ってきて改良し、今はサトウキビを搾るために使っています。彼は自分の力で動かす機械は、直せば何百年も使えるといいます。電気や石油がないと動かない物は壊れても自分の手で直すことは難しく、そういったエネルギーがないと使えません。自分の力で動かせるもので、自分のシステムを作ることが自立した人間になることへの一歩だと思います。
TIPS: Rainbow Valley Farmを体験しよう
森谷博さんがRainbow Valley Farmを取材・撮影したレポートは日本語でとてもわかりやすく書かれてあるので、是非見てください。また、Rainbow Valley Farmツアーもあるので行くといいですよ。
