鮨正 - いただきます - Dengon Net

鮨正

2008-01-31
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上にぎり $26

itadaki_01.jpg 鰻巻き卵 $6.50 itadaki_02.jpg itadaki_03.jpg 筑前煮 $7 itadaki_04.jpg メンチカツ $9 itadaki_05.jpg itadaki_06.jpg さば箱寿司 $15 itadaki_07.jpg 明太子 $7 itadaki_08.jpg itadaki_09.jpg イカの塩辛 $6.50

日本食レストランは数あれど、寿司を看板にした店は他にない。本格的な江戸前寿司が味わえることを自慢にしているのだが、入ってみるとそれだけでは終わらない。寿司への気配りを他の料理にも広げ、いつかどこかにあったような、手作りの温かみに満ちた素朴な豊かさを持つ店だ。

鮨正のカウンターには、いかにも職人さんという風情のオーナーの正三さんがいる。メルボルン最初の日本食レストランの板前として、この地で本格的な寿司を握って40年近くになるという、この店の看板だ。

正三さんはいかにも本格的な日本の板前さんらしく、いたって寡黙。取材班はその声をほとんど聞くことはなかったが、黙って店内の動きをしっかり把握している存在感はさすがだ。

そして、その父親を裏で支えているのが、二代目の豪さん。メルボルン生まれだから、この名が付いたそうだ。今回は、その豪さんの案内で、鮨正の隠れた魅力を、いただきます!

この店のメニューは非常に豊富だ。全部で100種類を超えるという。最初から種類の多さにこだわったわけではなく、常連さんから「食べたいんだけど」と言われたものを、「材料もあるし、まあいいか」と作ってしまったり、まかないで出した料理もおもしろいかと思ったり、そんなノリでメニューが増えてしまったらしい。

取材に当たっては、豊富なメニューの中から、この店独自の料理を選んでもらった。鰻巻き卵も、筑前煮も、オーストラリアでは食べた覚えがないが、日本の下町の飾らない飲み屋さんに入ったみたいで、「そういえば、こんな料理あったなあ」という懐かしさを感じた。

どちらも肩肘張った料理ではなく、作り手の温度が伝わってくる、やさしい味がした。筑前煮は、豪さんが「食べたくなったから作ってみた」料理だそうだ。若いのに、渋い落としどころを知っているなあと感心した。

そして、今回のメニューからのドキドキは、メンチカツ。これも懐かしのメニューだ。この前、メンチカツを食べたのはいつだったか思い出せない。子供の頃、近所のお肉屋さんの店頭で揚げ物が売られていて、夕食のおかずを買いに行く時、父は必ずトンカツで、子供達はコロッケで、なぜか母がメンチを選んでいたっけ。コロッケとは一味違う懐かしさ…。

出てきたメンチカツの独特な香りは食欲をそそり、思わず、これだけをテイクアウェイして帰りたい衝動に駆られてしまった。実際に食べてみると、ソースが滲み込んだ期待通りのメンチカツそのもので、童心に返って嬉しくなった。もう今日は、ここまでで満足かもしれないという心境。でも、そういえば、まだ本題の寿司を食べてなかったっけ。

さば箱寿司は、新鮮なネタがたっぷりで、酢が効いて、箱寿司とは呼べないほどの豪快さ。ヒカリもの大好きな同行記者は大喜び。

そこに手作りのイカの塩辛、明太子も登場。どちらも、スーパーで売られているような既製品とは一味違う。新鮮なネタがあった時だけの特別メニューらしい。ちなみにこの日のスペシャルは、牛タンのワイン煮、鯛の潮汁、さよりの骨せんべい、牛すじ肉じゃが、アスパラの天ぷらなど。やっぱり、さり気なく、おいしいものを知っているなあと思わせる名前が並んでいて、常連でも飽きることがないのがわかる。

そして最後に、主役の上にぎりの登場。ネタの厚みと新鮮な輝きは申し分なく、口の中に入れてから、一瞬後、ワサビの衝撃が鼻まで突き抜ける。そうだ、日本では寿司を食べると、このスリルがあったなあと思いを新たに、改めて寿司を堪能した。

鮨正は、「日本にいたら当たり前の、飾らない日本の味」が、そのまま味わえる貴重な店だと思う。ランチの定食も丼物も12ドルぐらいから揃っているし、メニューを上から順に見ていくだけでも楽しめる。ゆっくりとカウンターに座って酒を飲みながら料理を楽しめば、正三さんからメルボルン昔話を聞く機会もあるかもしれない。

ごちそうさまでした!