

ひっそりとこだわりの味を守り続けるマレーシア料理店
レストランの入れ替わりの激しいメルボルンの中心地に、店を構えて20年。「以前はチャイナ・タウンに10軒ほどのマレーシア料理店があったのに、今では2、3軒しか残っていない」と寂しそうに語るオーナーのジョエンさん。今回は、激戦区を生き抜く秘密に迫ってみた。
食には、人一倍のこだわりを持つ香港人の友人が、「メルボルンで一番おいしいチリ・クラブが食べられる店」と紹介してくれたのが、ここ『リトル・マレーシア』。グルメな友人のお勧め店だけに、期待に胸膨らませて、いただきます!
チャイナタウンから小さな路地に入ってすぐ、店のアイコンであるイラストを発見。優しい笑顔で出迎えてくれたオーナーのジョエンさんの案内で席に着き、早速メニュー選び。正直、チリ・クラブのことしか考えていなかった取材班。そもそも、マレーシア料理って? 「マレーシア料理は、マレー料理、中華料理、インド料理等を融合させた料理で、独自にアレンジ発展させたもの」と、ジョエンさん。う~ん、奥が深そう。ジョエンさんにお任せだ。
まずは、マレーシアの定番朝ご飯ナシ・レマッ。お皿の真ん中に、ココナッツライス、その周りにドライビーフカレー、フライドエッグ、サンバルアンチョビ、野菜の酢漬け、ピーナッツ等がのっている。ご飯と具を混ぜてもよし、それぞれの具を味わってもよし、食べ方は個人の自由。辛い、しょっぱい、酸っぱい、さっぱりといろいろな味が一度に楽しめる欲張りな一皿。ランチにピッタリ!
お次は、お店一押しのロティ・チャナイという、ロティとチキンカレーのセット。ちなみに、ロティとはマレー語でパンのことを指す。ここのロティは、自家製でモチモチした食感とほんのりとした甘みがあるのが特徴。チキンカレーは、ジューシーなチキンがゴロンゴロンと入ったマイルドな味。ロティとの相性は、言うまでもなく抜群に良い。
そして、いよいよお待ちかねのチリ・クラブといきたいのだが、取材当日はいい蟹がなかったので、チリ・クラブは作れないとのこと。そう、いい素材が見つからなければ、登場しないメニューなのだ。そんな素材へのこだわりも激戦区を生き抜くポイントになっているに違いない。
今回はチリ・クラブを諦め、チリ・プローンをいただくことに。登場したのは、こんなにたくさんエビが入ちゃってていいの? とこちらが思うほど、気前のよい一品。エビはプリプリ、程よくきいたチリがとにかく食欲を刺激する。一口食べると自然と笑みがこぼれてしまうこのチリ・プローンは、中華のエビチリに似ているが、卵が入っているからか、どことなくふんわり柔らかいマイルドな味わい。先程のロティと一緒に食べてもおいしいが、個人的にはご飯にかけて食べるのがお勧め。エビがなくても、チリソースとご飯だけで一膳は食べられる。
ソースも残さず、しっかり完食。お腹が一杯なのだが、デザートのチェックも忘れちゃダメよね。と、デザート2品をオーダー。アイス・カチャンは、日本でいうカキ氷みたいなデザート。しかし、日本のシンプルなカキ氷を想像してはいけない、なんとシロップと練乳のかかったカキ氷にゼリー、小豆、プラムシード、ピーナッツにスイートコーンが入っている。ドギマギしながら食べ始めたが、甘さは、控えめなのと摩訶不思議な食感で、途中で止められなくなるデザート。一度お試しあれ!
サゴ・プディングはタピオカのプディングに、オーナー自ら3時間もかけてプラムシュガーを煮込んで作った自家製シロップとココナッツミルクをかけた美しいデザート。こちらは、アイス・カチャンとは対照的にかなり甘い。でも、人工的な甘さではなくやさしい甘みなので、ペロリとこちらも完食。
「手間を惜しまず、努力しなければ」と語ったジョエンさんの人柄が、接客や料理に表れているレストラン。連日、常連客で賑わうのも納得。
ごちそうさまでした!
