
まぐろ、えび、いくら、はまちなど定番のすしが並ぶ。今日のつき出しはひじきの煮物。デザートは手作り羊羹。
香味揚げは文字通り薬味の香りが見のしまった魚にマッチしている。
炙った松の実が香ばしく、食欲をそそるおひたし。
コクのある甘いたれが鴨サラダ全体を際立たせている。
ほろ苦いカラメルソースとのバランスが絶妙。
黒糖のコクがしっかり活かされている。
向かって右がオーナーの影山さん。テキパキと動き気が利くスタッフと一緒に。
店の引き戸を開けた途端、かつおやこぶでだしをとる香りに包まれた。一瞬日本に戻ったような錯覚。そこにはBBQや肉料理に辟易していなくても、日本人なら誰でも懐かしさがこみ上げるメニューが並んでいた。
季節の香りあふれる懐石料理を食べられる店
今年最後の「いただきます」を飾るのは、「あかとんぼ」。「あかとんぼ」という名前は、オージーの友人がつけてくれたそうだ。「♪夕焼け小焼けのあかとんぼ~」の歌はオージーが日本語を習う時に必ず教えられる。また「あかとんぼ」は発音がしやすく、ひらがなで覚えやすい。日本人も一度覚えたら忘れられないだろう。
オーナーの影山さんはシェフ歴25年。京都の懐石料理店で料理長を8年務め、あかとんぼは開店して4年目に入る。
懐石料理は皆さんご存知だろうが、鎌倉時代に寺院で精進料理として確立し、最近ではよりカジュアルに華やかな料理として喜ばれている。四季折々の旬の材料だけで献立を作り、季節感を盛り上げるとともに、素材の持つ色、形、香り味を素直に活かしたものだ。 影山さんは「懐石料理を広めたい」という思いを持ち続けているそうだ。が、懐石料理で使いたい素材、特に日本独自の薬味に限界があるうえ、メルボルンでは季節に関係なくいつでも同じ食材が揃ってしまう。だから、夏はアスパラガス、空豆というように本当に旬のものだけを使うように自分の中で決めているそうだ。
そして、食器も彩りがよく、大きさが手ごろな物が並ぶ。テーブルには小さな花瓶にほんのり花が活けてある。すべてオーナーの心遣い。ゴージャス、大ぶりではなくても、奥ゆかしい美しさが追求されている気がした。
取材の日も、奥様ともよく来るという隣に座った常連男性にお薦めされた「季節のおまかせ会席」($60・2名から)は注文が多く入っていた。そのうちの1品はアスパラにサヨリとシソを巻いて天ぷらにしたもの。牛シャブの梅肉ソースがけも出ていた。
そんな料理を横目でチェックしながら、寿司御膳($20)をいただく。これはランチメニューの一つ。赤だし、つき出し、デザート付きでこのお値段。ディナーでは寿司単品でも食べられるので、期待大。しゃりとネタのバランスがいい。ア・ラ・カルトの中からおひたし($10)と鴨サラダ($16)をオーダー。おひたしは菊菜(春菊)ときのこがだし醤油であえてある。鴨サラダは赤味噌ダレが柔らかい鴨肉にフィット。こんな食べ方があったのかと驚かされる。続く香味揚げは、King George Whitingに切れ目を入れ、そこにしそ、ごま、ねぎ、しょうがを入れて揚げたもの。
カウンター席だと、他の人が食べるものを作っているのが見え、ついつい追加注文してしまう。あぁ、鮭茶漬け($15)もいいな。ホタテ焼売($12)も食べてみたい! 料理人が丹精こめて作っている姿、包丁さばきを見ながらの食事は、やはり気持ちのいいものだ。
また、懐石料理を知り尽くしている料理人だからこそ、カウンターの中からお客の「ころあい」を見て次のメニューを出している。「間」の呼吸も懐石料理ならではだ。
ついつい頼んでしまった懐かしい味のプリン($8)黒糖アイスクリーム($8)のデザートも絶品。プリンは昔母親が作ってくれた卵たっぷりの懐かしい味を思い出させ、黒糖アイスは沖縄の味がした。本当に沖縄の黒糖を使っていると聞いてビックリ。
美少年、越の誉などの日本酒($8~)、焼酎($9~)、日本のビール($7~)も揃っている。2階にも12席あって、グループで行くことも可能。忘年会、新年会にも使えそうだ。
ごちそうさまでした!
※黒豆、数の子、昆布巻きといった伝統的なメニューとメルボルンの素材を活かしたメニューが合わさった2段重ねの「おせち料理」のオーダーも12月20日まで受付中。あかとんぼ特選、日本で作らせた吟醸酒も販売中。

