TAXI DINING ROOM - いただきます - Dengon Net

TAXI DINING ROOM

2006-04-03
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鯛のロースト($36.50)。貝のジュースとレモングラスのスープにはサッパリとしたコクがあって煮びたしのようでおいしい。

チリとしそをあげたもの、エシャロット、香草などがのった和牛ビーフのたたき($21.50)。チリ、西京みそとごま油のソースがかかっている。

ピクルス、オリーブゼリーなど様々な味がマッチング。しそ、わさびオイルがけの魚の薄造り($20)。

ウサギのローストは、ほうれん草とチキンムースをウサギの肉でくるみ、パンチェッタが巻かれてある。パイとクレソンサラダ添え($36)。

荒金シェフと開店当時からのスタッフ、イブさん。

メルボルンのレストラン業界で今、静かに注目を集める店

レストランに行く場合、何を求めるかによって行き先が決まる。お腹がすいていて、大盛りのごはんをモリモリ食べたい時は、安くておいしい店がいい。しかし、時には全く別の意味で、ゆったりと値段も時間も忘れたい。今回は、そんな特別な空間で、ちょっとおしゃれに、いただきます!

フェデレーション・スクエアに行ったことのある人なら、フリンダース・ストリート駅前の大きなTの看板を知っているだろう。1階のバーは、いつも夕方には満員の盛況を見せている。しかし2階のレストランはムードが全く違う本格的なレストラン。階段を上がり、ガラス張りのドアを開けると、スタッフがフレンドリーな笑顔と手際のいいサービスで待っていて、ちょっとホッとする。

ガラス張りの店内から外を見ると観光用の馬車が走っている。目の前がフリンダース・ストリート駅、その先はアートセンター、ヤラ川越しにMCGやテニスセンターも見える。周囲には生活に余裕のありそうなビジネスマンやそのパートナーがくつろいだ様子でワインや料理を楽しんでいる。

庶民の私たちがこんな所に来ちゃっていいのかなあと感じつつ、なんだか映画のシーンにでも紛れ込んだみたい。ワインの種類も豊富で、フランスの高級ワインからオーストラリア産まで、日本酒もたくさん揃っている。ソムリエは若い女性で、ワインの知識がなくても気軽に話し掛けられる雰囲気。

このレストランは昨年、ジ・エイジ紙のグッドフードガイドでレストラン大賞を獲得し、本誌でもインタビューをしたので、覚えていらっしゃる方も多いだろう。レストラン大賞を取った店に日本人シェフがいるのに行ってみない手はない。

メニューに名を連ねるヘッドシェフが2人。ヨーロッパの味を伝えるのが、レストラン業界にその名を知られるイギリス人のマイケル・ランビーさん。そして日本の心と技を伝えているのが荒金育英さん。スタッフからはキンさんと呼ばれて親しまれている。

まずは前菜で、タクシー特製和牛ビーフのタタキとキングフィッシュの薄造り。どちらも荒金さんの作品。この値段を見て、高いと思うのは大きな間違い。高級店の一口サイズのオントレーとは違い、二人で試食して、ここまでで満腹になりそうなほどだった。

和牛のタタキは、普通のタタキのイメージを見事に裏切る。同行した記者は、肉料理があまり得意ではなく、最初は遠慮ぎみだったが、最後には認識が変わっていた。どちらもサッパリとした味わいなのに、様々な素材の味が見事なハーモニーを醸し出していて、飽きないどころか、食べるたびに発見がある。 

例えば、薄造りのキングフィッシュの上には小さなダイス状のキュウリとトマトが乗っているのだが、このトマトがほんのり甘い。キュウリにすっぱさがあるので、トマトを軽くマリネして、甘さを出しているのだという。それらの気配りがとてもやさしい味を出している。一口で一気に食べた時と、箸でひとつずつのアイテムを味わった時と、それぞれが別の世界で、頭の中が幸福な混乱に襲われる。

満腹感というのは、量で感じるだけではないと初めて実感した。その気分にレストランの雰囲気がマッチして、夢のよう。「料理の鉄人」(オーストラリアで放映中)のゲストになったような気分。シドニーで注目を集める日本人シェフ、テツヤさんをうならせた腕前は、さすが。

もう十分かと思ったところにメインコースが登場。鯛のローストとウサギのローストは、どちらもマイケルさんの力作。鯛の皮目がパリパリとして、その周囲を囲むあさりやホタテなどの貝類がやわらかい。

ウサギは鶏肉より味が強く、小さいくせに重厚な味わいで、イギリスの森を連想した。

メインを終わってコーヒーを飲むまでにずいぶん時間が経っていたが、居心地が良く、楽しい気分が家へ帰っても続いていた。 

ごちそうさまでした!